失業時期にスキルを身に着けたい。
しかし、貯金には限りがある。
そんな時に、国の支援を受けられる制度があります。
この記事を読んでわかること
- 退職日のタイミングによっては、失業給付の期間を延長できる事例
- 失業給付の対象でない無職時期でも国の支援を受けられる事例
【 目 次 】
失業給付(失業手当)の延長 3つのステップ
退職後に失業給付を受ける対象の方は、一定の条件を満たして「職業訓練」を受講すると「職業訓練校」に通っている間は失業給付が延長されます。
退職から2年前までの期間に、会社の雇用保険に加入した期間が12か月以上(月11日以上の勤務)場合は、失業期間中に失業給付がもらえます。「会社都合」または「特定事由のある自己都合」による退職の場合は、退職から1年前までの期間に6ヶ月以上の勤務で失業給付が支給されます。
「職業訓練」には3か月コースから30歳未満の方なら2年コースまであります。
例えば、90日の失業給付日数の人が2年の職業訓練コースに入校すると約730日の給付期間に延長されます。
また、職業訓練にかかる費用はテキスト代に少しかかる程度で、授業料は基本的に無料の上、交通費等も支給されます。
この失業給付の延長を受けるには、ハローワークで相談を行った上で判断される点と、職業訓練校に入る前に「施設見学会」「入校試験」「面接」等があります。(過去に職業訓練を受講後、1年未満の方は対象になりません。)
そのため、必ず入校出来るとも限りませんので、ご注意ください。
職業訓練の概要は下記記事をご参考ください。
入校前にするべきこと、訓練の概要
職業訓練コースのおすすめ
職業訓練は求職者が就職に必要な技術を習得することを支援する国の制度です。 せっかく職業訓練を受けるのであれば、受けて良かったと思えるコースを受講したいものです。 その他、失業給付の対象者で一定の条件を ...
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それでは、3つのステップに分けて確認していきましょう。
ステップ1 失業給付の受給期間|離職日の翌日から原則1年以内
失業給付の「受給期間」を確認しておきましょう。
失業給付を受けられる受給期間は「離職日の翌日」から1年間の間という点に注意しましょう。
「受給期間」を超えると失業給付の「所定給付日数」が残っていても「基本手当は支払われません。」
ただし、会社都合による退職などで所定給付日数330日の方は30日加算、障害をお持ちの方で所定給付日数360日の方は60日加算されます。
<失業給付の給付日数早見表>
そして、先に説明した所定の条件を満たして職業訓練校に入校した場合は、失業給付期間を超えていても、職業訓練校に通っている期間は同額程度の受講手当が支払われます。
ステップ2 「離職日」と失業給付の受給開始のタイミングを確認しておきましょう。
失業給付を受けるにはハローワークに出向いて、失業給付の申請手続きをしなければなりません。
ハローワークで最初に行うこの申請手続きをいつ行うかによって、失業給付の開始時期をある程度において「調整」することがができます。
そして、この手続きをハローワークで行うと「受給資格の決定日」が決まります。
「受給資格の決定日」から7日間は「待機期間」となります。
さらに、自己都合による退職の場合は、7日間の待機期間満了に加えて「給付制限」があります。
追記(2024年8月4日)
2020年10月1日以降の自己都合による退職の給付制限は従来の3か月から「2か月」に短縮されました。
さらに、2025年4月1日以降の給付制限は「1か月」に短縮されます。
ただし、5年間のうち2回までの制限があり、5年間で3回目以上の自己都合による退職の場合は従来どおり「3か月の給付制限」になります。
今後も法改正などで記事内容から制度内容が変更されることもあるので最終的にはご自身で公の機関などに確認してください。
この7日間の待機期間と給付制限の期間が満了するまでは、失業給付は開始さません。
先程の退職日翌日から1年間の「受給期間」内で、失業給付日数を確認して、いつまでに申請すれば良いか確認しておきましょう。
なお、会社都合または特定事由による退職の場合、7日間の待機期間の後の「給付制限」はありません。
<失業給付開始までのフロー図>
*上図の自己都合の場合の給付制限期間は、5年間における自己都合による退職回数などによって変わりますのでご注意ください。
ステップ3 失業給付延長の条件
失業給付を延長するには「職業訓練」を受講する必要があります。
そして、受講したい職業訓練のコースを決めたら、ハローワークに職業訓練の相談に出向いて「受講指示」を受ける必要があります。
受講指示を受けるには、早期再就職の促進のため、原則として雇用保険の所定給付日数の3分の2に相当する日数分の基本手当の支給を受け終わる日以前に、ハローワークが職業訓練に入校出来るコースと受講の必要性を判断して「受講指示」を出しています。
言い換えると、職業訓練の入校日までに失業給付の3分の1以上の日数が残っている必要があります。
なお、会社都合による退職の場合は、所定給付日数が90日の場合は90日分、120日又は150日の場合は120日分、240日以上の場合は150日分までの基本手当の支給を受け終わる日以前となります。
最終的には、個々の求職者の方の雇用保険の給付状況や職業相談の経緯に応じて各ハローワークにおいて判断されます。
給付日数の残日数の早見表は下表のとおりです。
<自己都合による退社の場合>
所定給付日数 | 残日数 |
90日 | 31日以上 |
120日 | 41日以上 |
150日 | 51日以上 |
<会社都合または特定事由による退社の場合>
所定給付日数 | 残日数 |
90日 | 1日以上 |
120日 | 1日以上 |
150日 | 31日以上 |
180日 | 61日以上 |
210日 | 71日以上 |
240日 | 91日以上 |
270日 | 121日以上 |
300日 | 151日以上 |
330日 | 181日以上 |
360日 | 211日以上 |
なお、受講指示を受けて職業訓練校を受ける場合は、先ほどの「給付制限」は解除されます。
職業訓練入校日より失業給付と同額程度の受講手当が給付されます。
早く受講手当の給付を受けられる一方で、失業給付の所定付日数を3分の1以上残して職業訓練に入校する場合と異なり、失業給付の所定日数を1日も使わないことをデメリットと考える方もいます。
職業訓練受講給付金について(失業手当の給付期間終了者も対象)
「職業訓練受講給付金(求職者支援制度)」は、就職したことのない人や失業給付を受ける資格がない人、失業給付期間が終わった人でも、ハローワークで「支援指示」を受けて職業訓練を受講する場合、職業訓練期間中の生活支援の給付金を受けることができる制度です。
職業訓練の内容は、社会人経験のない方から専門分野の基礎技術と知識を身につけて就職したい方まで幅広いコースがあります。
職業訓練期間は6か月までの訓練期間になります。
主な条件などは次のとおりです。
特定求職者の条件
職業訓練受講給付金(求職者支援制度)の対象者を「特定求職者」と言います。
そして、「特定求職者」は次のすべての要件を満たす必要があります。
特定求職者の条件
1.ハローワークに求職の申込みをしていること
2.雇用保険被保険者や雇用保険受給資格者でないこと
3.労働の意思と能力があること
4.ハローワークが職業訓練等の支援を行う必要があると認めた者
支給額
職業訓練受講給付金は次のとおりです。
支給項目 | 支給金額 |
職業訓練受講手当月額 | 月額10万円 |
通所手当(上限額あり) | 職業訓練実施機関までの通所経路に応じた所定の額 |
寄宿手当(ハローワークが認めた場合) | 月額10,700円 |
支給要件
職業訓練受講給付金の支給を受けるには次の全ての条件を満たしている必要があります。
ポイント
1.本人収入が月8万円以下
2.世帯全体の収入が月25万円以下
3.世帯全体の金融資産が300万円以下
4.現在住んでいるところ以外に土地・建物を所有していない
5.全ての訓練実施日に出席している(やむを得ない理由がある場合でも、支給単位期間ごとに8割以上の出席率がある)
6.世帯の中に同時にこの給付金を受給して訓練を受けている人がいない
7.過去3年以内に、偽りその他不正の行為により、特定の給付金の支給を受けたことがない
支給の手続きについて
具体的な手続きは、ハローワークで求職申込後に「求職支援制度」の説明を受けるところから始まります。
詳細は所轄のハローワークでご相談ください。