私は転職1回の失敗の経験を経て専業投資家として独立しています。
今回は、失業期間を含む「ブランク(空白期間)のある転職経験をもとに、仕事を辞める前にしておくことをまとめました。
同じような状況にある方の参考になれば幸いです。
【 目 次 】
仕事を辞める前にすること-実践編-
退職理由は、それぞれの状況で特有なものだと思います。
実践編では私が退職する前にしておけば良かったと思ったことです。
私は辞めることを思い立ってから、少しずつ辞めたい気持ちが強くなっていきました。
そんな気持ちでいると「フリーランスになって自由に働こう。」という誘惑する広告等が目に入ったりもしました。
しかし、そのような言葉は人の目を惹くためのだけの商売人の言葉だと思います。
また、退職の相談した際に「あなたが辞めたければ辞めれば良い。」という類のアドバイスをする人もいます。
確かに最後に決めるのは自分自身ですが、助言ではないと思います。
私が思う本当の助言は次のとおりです。
一番大切だったと思うこと
少しゆっくり今後を考えたい。
そんな思いで、ある程度実績が出ていた投資による独立も視野にいれて後先を考えずに辞めました。
しかし、独立するつもりであれば、収入の実績が明確にない状態で辞めてはいけなかったということです。
収入の実績とは、退職後に年間を通して安定的に収入が月20万程度は継続できるというようなレベルです。
あるいは、在職中に取引先などとの人脈が出来ていて、ブランク後の仕事が約束されていることです。
当時の私にもっと独立する意志が強ければ、仕事をしながらでもこのような実績を作っていたと思います。
もし、あなたが退職を考えていて、そのような明確な実績がない場合は、退職される前に転職サイトに登録して転職活動をしてみることをおすすめします。
当時の私は在職中に転職活動が出来る心境でもありませんでしたが、それでも気持ちをふるい立たせて転職活動をしておいた方が良かったと思います。
その結果、転職に成功したなら、次の職場環境で考えることが出来たのではと思います。
そして、このような行動をしてもうまく行かなければ、そこで退職すれば良かったと思っています。
1.ブランクのある転職者は在職しながらの転職者に比べて圧倒的に不利
在職中に転職活動をしておけば良かったと思う理由は、ブランクがあると在職しながら転職活動をしている人と比べて、書類選考と面接で2倍くらいハードルが高くなります。
これは、後に就職した会社で在職中に転職サイトに再登録して、検証した結果です。
2.面接できまって聞かれること
ブランクを作っていると、間違いなく聞かれるであろう質問は「なぜ、前職をやめたのですか?今まで何をしていたのですか?」という質問です。
この内容を角度を変えて何度も何度も聞かれます。
採用する側に立てば、問題のあった人は雇いたくないから、当たり前のことともいえます。
在職者への質問であれは「なぜ転職を考えられているのですか?」になると思います。
これと比較すると「なぜ辞めたのですか?空白期間は何をしていましたか?」の質問は、ポジティブな答えが難しくなります。
前の会社を悪く言ってしまうと転職先でも同じような考えをすると思われかねません。
面接の場数を踏むまでは回答に困惑することもあると思います。
ブランクを作る辞め方をした後の転職状況を知りたい方は下記記事を参考ください。
ブランクのある転職は圧倒的に不利
不採用通知の山に日々自信を失う毎日に、ひょっとして無職では転職できないと思う期間が続きました。 しかし、努力と工夫、面接の繰り返しで、無職期間2年でも転職することが出来ました。 この記事では実話に基づ ...
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仕事を辞める前にすること-準備編-
最後に退職を決断するのは自分自身です。
すでに辞めることを決断しているあなたへは、退職前の準備とテクニックの説明になります。
まず、すぐに辞めずに金銭面の準備と今後のプランが出来ているか確認をしておく必要があります。
退職後は、失業保険の給付を受けることになると思いますが、逆に支出する費用に驚くかもしれません。
ある程度の預貯金がないと生活できなくなる恐れもあります。
在職中に作る「クレジットカード」
会社員を続けていると「社会的信用」を得ているという強みを感じる時があると思います。
仕事をするときも、会社名を名乗った後に自分の名前を言います。
相手もあなたのことを会社の代表と思って対応しています。
これが退職すると、お客様から信頼を得ていた実績や自負心があったとしても、ほぼ誰も相手にしてくれません。
会社員生活を真面目に長く続けていた人ほど、社会からつまはじきにでもされたような思いをしばらく味わうことになるかもしれません。
そして、はっきりするのがクレジットカード等の金融機関の審査です。
フリーランスでも一定の収入がある場合は、クレジットカードの審査がとおる可能性はあります。
しかし、安定した収入がない場合はクレジットカードの審査にまず通りません。ローンを組むことも相当難しくなります。
キャッシュレス決済が進んでいる今日の生活に支障をきたさないよう、在職期間中にクレジットカードは必ず作っておくべきです。
おすすめできるクレジットカードは次の3つです。
万が一のためにクレジットカードは3枚は持っていた方が良いと思います。
おすすめのクレジットカード
退職後も加入義務のある「健康保険」
全ての日本国民が同じ医療費で平等に医療が受けられる「国民皆保険制度」で健康保険の加入は義務づけられています。
在職中は会社の健康保険に加入していますが、一般的には退職日から14日以内に市区町村役場に出向いて「国民健康保険」に加入することになります。
この国民健康保険は毎年12月末日までの所得控除後の所得総額に応じて、翌年の6月ごろに保険料額の決定通知書が送付されきます。支払期間は通知書の届いた年の4月から翌年3月までです。
退職して収入が少なくなっている失業時期にも、昨年の12月末までの前職の年間所得に応じた保険料を払わなければならなくなりますので注意が必要です。
また、給与明細で天引きされている健康保険料は会社と本人で折半した後の半分の金額です。
12月まで1年間を働いた場合、給与明細で天引きされている健康保険料の2.5倍くらいの金額が目安になります。
正確な金額は、市区町村役場のホームページで健康保険料の計算方法を確認するか、担当窓口にご確認ください。
なお、退職後に必要になる書類のうち「健康保険資格喪失証明書」は、いつ頃受け取ることになるか会社に確認しておきましょう。
通常は、あなたが保有している健康保険証を会社へ返却した後、郵送等で2週間程度で受け取ることになると思います。
国民健康保険の加入に必要なもの
●健康保険資格喪失証明書
●市区町村の指定する届出
●身分証明書
●印鑑(認印)
●預貯金通帳またはキャッシュカード(口座振替の記載)
任意継続被保険者制度
「任意継続被保険者制度」を利用して、退職後2年間は退職前の会社の健康保険に入っておくことが出来ます。
その方が安くなる場合があります。
任意継続をする場合は退職後20日以内に会社の健康保険組合へ申請をしなければなりません。
任意継続で加入する際に2年間は継続する必要があるという説明を受けるかもしれませんが、途中で辞めることも出来ます。
なぜ辞める必要があるのかというと、加入後に収入が減った後に12月を迎えた翌年は、国民健康保険に切り替えた方がメリットが出る場合があるからです。
任意継続の健康保険を辞める方法は、納付日までに保険料を支払わないことです。
そうすることで任意継続の保険者の資格を失う条件に該当し、任意継続の健康保険を辞めることが出来ます。
退職するまでに会社に問い合わせて任意継続した場合の健康保険料を確認して、国民健康保険料と比較する準備をしておきましょう。
親族の被扶養者になる方法
親族の健康保険の被扶養者になるという方法があります。
ただし、健康保険と公務員の共済組合に限られており、国民健康保険にこの制度はありません。
また、親族の被扶養者になるにはその親族の加入している健康保険の種類によって異なりますが、扶養になる条件は厳しいようです。
なお、被扶養者になれば健康保険料を本人が支払う必要がなくなり、あなたを被扶養者として受け入れた親族の健康保険料も上がることはありません。
参考
<協会けんぽの場合の例>
原則として3親等以内の親族で、退職後の見込み年収の条件は次のとおりです。
〇原則、失業手当等も含む年収が130万円以内(60歳以上と障害者は180万円以内)かつ、被扶養者の年収が被保険者の収入の2分1未満であること。
〇別居の場合は、被保険者からの仕送り等の援助を受けていて、かつ、その援助金額より収入が低いこと。
詳しくは、各健康保険組合にご確認ください。
退職理由による減免制度
退職理由として「会社都合」と「自己都合」の2種類に分かれます。
もし、解雇・倒産などの会社都合によって退職した場合は、国民健康保険料の減免制度があります。
同様に「自己都合」の場合でも「特定事由による退職」がハローワークで認められると会社都合扱いとなり減免されます。
この場合の国民健康保険料は、通常の3分の1程度になります。
減免対象となった場合は「離職票」を持参して、市区町村役場に申請する必要があります。
退職後も加入義務のある「国民年金」
加入義務のある国民年金は、退職日の翌日から14日以内に手続きをすることになっています。
例えば、令和2年の国民年金保険料は月額16,540円です。
退職後も国民年金保険料の支出があることに注意しましょう。
国民年金保険料は国が毎年見直します。
物価上昇が緩やかな2000年以降は数百円程度の上昇で大きな変化はありません。
この国民年金保険料は厚生年金保険料に含まれる形で給与から天引されています。
厚生年金とは会社員が加入できる年金制度で、国民年金を1階とすると2階建て部分といわれたりします。
国民年金保険料と異なり、厚生年金保険料は毎年4月から6月の給与平均額によって変動します。
あなたの厚生年金額を知りたい場合は、給与から天引きされている厚生年金から国民年金額を引くことで計算できます。
さて、会社を辞めた後ですが、加入義務のある国民年金を支払う手続きのために社会保険事務所に出向く必要があります。
支払は毎月支払いの他に6ヶ月・1年・2年一括支払い(割引制度)もあります。
クレジットカードの種類によって、クレジットカード支払いが出来るものもあります。
その他、国民年金には減免制度があります。社会保険事務所でご相談ください。
次に、会社員しか加入できない厚生年金は加入できなくなります。
厚生年金を支払わなくなりますから、将来の受け取り年金額はその分が減ります。
そこで、厚生年金に該当するフリーランス向けの国民年金の2階建て部分として「国民年金基金」という制度があります。
退職時の預貯金や将来の受け取り年金額を調べて、国民年金基金などへの加入を検討する必要があります。
なお、国民年金以外の年金や積立ては任意です。
最後に会社が「年金手帳」を預かっている場合は、年金手帳も返却してもらいましょう。
これらは、退職前にいつごろ受け取ることになるか確認しておくと良いでしょう。
国民年金の加入手続きに必要なもの
●退職日を証明する書類(健康保険被保険者資格喪失証明書、雇用保険被保険者離職票等)
●年金手帳
●身分証明書
●印鑑
●キャッシュカード、クレジットカード等(支払方法の記載)
確定申告
退職後、年末調整を終えずに年末を迎えた場合など税務署に「確定申告」をすると所得税の還付を受けることが出来る場合があります。
「確定申告」とは、毎年12月末日までの所得等を、所定の書式で2月頃に所轄の税務署に申告するものです。
そして、この申告書の内容をもとに所得税額と住民税額が決定されます。
なお、会社から受け取る「源泉徴収票」は確定申告時に必要ですので、いつごろ受け取ることになるか確認をしておきましょう。
確定申告に必要なもの
●源泉徴収票
●印鑑(認印)
●マイナンバーカードまたはマイナンバー通知書
●身分証明書
●預貯金通帳またはキャッシュカード(還付金口座の記載)
参考
株式の譲渡益・配当収入がある場合で、証券会社の口座が特定口座(源泉徴収あり)の方は確定申告は不要です。
もし、配当控除や通算損益等の理由で税務署に所得税の確定申告をする場合は、所得税の申告とは別に市区町村役場の窓口に「住民税の確定申告」もしておいた方が良いと思われます。
その手続きをしないでいると、株式の譲渡益や配当収入も所得金額となり、国民健康保険料や扶養控除に影響が出る場合があります。
住民税
国民健康保険と同様に住民税も毎年12月末日までの課税される所得総額に応じて、翌年の6月に住民税額が決定し、その年の6月から翌年1月まで4回(6月、8月、10月、1月)に分割して支払うことになります。
退職して収入が少なくなっている失業時期にも、前職の年間所得に応じた住民税を払わなければならなくなります。
あなたが確認できる直近の給与明細で天引きされている住民税は昨年度の収入に対する税額です。
退職した年の収入も同じくらいであれば、その金額×12か月分が住民税額の目安になります。
住民税率は課税される所得金額に対して一律10%です。
所得税
所得税については源泉徴収という形で給与から天引きされています。
住民税と異なり先に支払っているので、確定申告で還付されることはあっても在職中の所得の影響で後から支払うことはありません。
言い換えると、退職後に新たな収入が発生した後に確定申告を行い、所得税を支払う流れになります。
なお、所得税の税率は課税される所得金額によって異なります。
失業給付申請の準備
退職から2年前までに会社に勤めた期間が12か月以上(11日以上/月の勤務日)あり、雇用保険を支払っていた場合は、失業期間中に失業給付がもらえます。「会社都合」または「特定事由のある自己都合」による退職の場合は、離職日以前の1年間で被保険者期間を通算して6ヶ月以上で失業給付がもらえます。
主に、失業給付は退職後にアルバイトも含めて就職していなくて求職活動を積極的にしている人に支払われるものです。
失業給付の一日あたりの金額を「基本手当日額」といい、下限が約2,000円、上限が約7,000円です。
原則として離職した日の直前6か月に毎月決まって支払われた賃金合計を180日で割って算出した金額に45%~80%を掛けた数値です。
賃金の低かった人ほど高い率となります。
この失業給付は所得税・住民税の課税対象外です。
また、失業給付のが給付される「所定日数」は、勤続年数や年齢によって異なります。
退職日を決める前に確認しておく必要があります。
さらに、この失業給付の所定日数は一定条件のもとで職業訓練を受けると延長される場合もあります。
延長を検討する場合は、職業訓練校の入校日と失業給付期間を確認して退職日を逆算しておく必要があります。
「所定給付日数」の一覧表と、所定給付日数の延長に関する内容の次の記事も合わせてご確認ください。
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なお、失業保険の適用を受けるためには、退職後に所轄のハローワークに失業保険の申請に出向く必要があります。
その際の必要書類の「雇用保険被保険者離職票(1と2)」は、退職日以降に会社がハローワークと手続をして作成するものです。
したがって、退職日から通常は2週間程度で会社から郵送等で受け取ることなると思われます。
すぐ転職する場合に必要になる「雇用保険被保険者証」は、会社が保管している場合は退職時に受け取ることになります。
こちらは紛失等の場合でもハローワークであなた自身で再発行が可能です。
この2つの書類は退職前に受け取る時期の確認をしておいた方が良いと思います。
ハローワークの手続きで必要なもの
●雇用保険被保険者証
●雇用保険被保険者離職票(1と2)
●個人番号確認書類(マイナンバーカードまたはマイナンバー通知カード)
●身分証明書
●印鑑(認印)
●写真2枚(縦3㎝×横2.5cm)
●本人名義の貯金通帳またはキャッシュカード
引越しをする場合の準備
退職をしたら実家に帰る場合もあると思います。
事前に引越し会社に相見積もりをとって、引越しの準備もしておきましょう。
引越し料金は、シーズンの3月と4月頃は通常の2倍から3倍になります。
転勤シーズンの9月、10月も割高になる可能性があります。
引越しの準備はお早めに
賃貸管理会社の元不動産屋が引越しのオススメ時期の実情を話します。 結論として、引越しのピークの3月と4月を避けることが出来ればベターです。 3月と4月を避けることがもむつかしい方も、引越し料金を安くす ...
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「退職願い」と「退職届」の違い
会社との雇用契約などで、退職の〇ヶ月前に申し出をするというような決まりがあると思います。
通常はそのルールに従って直属の上司に退職の相談することとなります。
退職日や引継ぎ、有給休暇の消化等の話し合いがつけば「退職願い」を書くように書類を用意されます。
そして「退職願い」が社長に承認された後に、退職できることになります。
上司や同僚に挨拶をして円満退社であれば問題ありません。
これに対して「退職届」は一方通行の書類です。
「退職届」を出した後は、撤回は出来ず、その時点で退職が決定します。
会社との雇用契約で退職日の1ヶ月前に申し出るという条件があったとしても、法律上は2週間前までに申し出れば通知だけで辞めることが出来ます。
また、有給休暇も全て使う事が認められています。
会社が認めてくれない場合は「退職届」を提出せざるを得ない場合もあると思います。
まとめ
仕事を辞める前にすることは意外とあります。
計画性のない辞め方をしては、後で慌てなくてはならないかもしれません。
在職期間中に備えておくことが大切かと思います。
最後までご覧くださり、ありがとうございました。