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ディーエムエス(9782)の配当

ディーエムエス(9782)は「ダイレクトメール(74%)」の企画制作から発送までを事業の中心としています。

物流(9%)・セールスプロモーション(10%)・イベント(7%)・不動産賃貸(0.4%)も展開しています。

2018年3月期ではダイレクトメール事業割合が93%でした。

以降、ダイレクトメール事業以外も少しずつ成長して売上が増加しているようです。

ディーエムエス(9782)の配当

ディーエムエス(9782)は、2025年3月18日に「資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応について(アップデート)」を発表しました。

その中で「2025年3月期から2027年3月期」において「配当はDOE8%を目安とする」と記載されています。

変更前は配当性向60%でした。

この変更により2025年3月期の年間配当は86円(予想)から236円と大幅増配になりました。

 

なお、2025年3月期予想のEPS(1株利益)は約144円で、配当性向に換算すると164%になります。

ここ数年間は配当性向100%にするという企業は見かけましたが、164%に設定する企業は初めて見る気がします。

1株配当が1株利益を超過しているので、今後の利益水準や財務が気になります。

 

下図は「資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応について(アップデート)」のIR資料の抜粋です。

大まかな変化を把握しやすいかと思います。

 

ディーエムエス(9782)の利益水準

利益水準を確認すると、EPS(1株利益)が1株配当238円(DOE8%)を上回ったのは2024年3月期のみです。

ただし、2024年3月期は特別利益(不動売却)があるため例外的だと思います。

 

ざっと見る限り、最近のEPSの平均は180円くらいだと思います。(当期利益で約10億円)

1株配当236円(DOE8%)に1株56円の利益が不足します。(当期利益で約3億円の不足)

 

利益成長で当期利益13億円以上にしない限り、配当維持のハードルはかなり高いように思われます。

年度売上営業利益経常利益当期利益EPS(1株利益)
2011/03167億4.32億3.89億1.73億23.77円
2012/03179億7.95億7.31億3.5億48.14円
2013/03174億11.1億10.6億5.97億82.15円
2014/03183億12億11.6億7.29億125.25円
2015/03187億10.9億10.6億6.57億112.81円
2016/03211億10.5億10.3億6.88億118.14円
2017/03227億12.2億12.1億8.25億141.65円
2018/03240億11億11.1億7.68億131.81円
2019/03268億13.7億13.9億9.54億163.81円
2020/03271億16.6億16.9億11.7億201.23円
2021/03257億14.3億14.6億10億172.09円
2022/03280億16.7億17億10.4億178.34円
2023/03293億19億19.3億11.5億195.6円
2024/03269億13.7億14.1億15.2億260.57円
年度売上営業利益経常利益当期利益EPS(1株利益)

 

ディーエムエス(9782)の財務

ディーエムエス(9782)の財務を見てみました。

有利子負債はほぼなしで、利益剰余金が約150億円あります。

貸借対照表の「現金・預金」を見てみると、2018年3月期は約16億円でした。

2025年3月期第三四半期では約70億円です。

事業内容に変化があまりない中で現金54億円が積みあがっています。

これだけの内部留保があるので「IR発表の2027年3月期まで」なら1株配当236円水準(DOE8%)は出せると思います。

 

ただ、今期は当期利益を超える配当を利益剰余金を取り崩して出すことになると思います。

その結果、DOEの計算対象の「株主資本」も減ります。

よって、来期から同じDOE8%でも配当が7円くらい減る可能性はあると思います。

(利益成長や自社株買い、あるいはDOEを8%以上にして236円を維持されるかもしれませんが…)

 

加えて、リーマンショック時は当期利益が1.7億円まで落ちこんでいます。

内部留保があっても不況になるとすぐになくなることを想定すると安心ばかりしていられないと思います。

また、不況が来なくても、当期利益を超えた配当を出し続けていると、いつかは利益剰余金から出せなくなります。

1株配当236円を2027年3月期以降も継続するには「利益成長」が必須だと思います。

 

個人的には平均的なEPS(1株利益)180円の範囲内で配当額を設定したら良かったのにと思います。

1株配当86円(予想)から110円に増配するだけでもかなりの増配です。

なぜ、これほどの大幅増配にしたのか…。

 

ディーエムエス(9782)の自社株買い

ディーエムエス(9782)は自社株買いも前向きに検討するとしています。

2025年3月期の自社株買いは約4億円でした。

 

自社株買いとは自社の株を購入して自己株にすることです。

自己株は配当の対象になりません。

そのため、実質的に株数が減ることになりEPS(1株利益)が高まります。

 

手元現金50億円で自社株買いを2025年4月14日の株価2,801円ですると、当期利益10億円の仮定でEPS282円に高められます。

増配前に自社株買いをするだけで1株配当236円(DOE8%)を上回るEPSに出来たのではという気もします。

 

あるいは、毎年4億円規模の自社株買いをしてEPSを上げつつ、EPSの範囲内で配当も上げていった方が安定するようにも思います。

 

今回のようなEPSを大きく上回る大幅増配は「減配リスク」が頭をよぎります。

 

ディーエムエス(9782)の大株主の存在

筆頭株主は社長です。

第2位は光通信㈱です

2025年2月17日のIRでは、光通信㈱の保有割合が㈱UH Partners 2と共同保有する形で増加してます。

議決権割合は6.63%から11.66%へ増加しています。(発行済株式から議決権のない自己株を除く)

 

資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応について(アップデート)資料2Pに「投資者との対話により」という文言があります。

もしかすると、大幅増配(2025年3月18日IR)の前に大株主含等の投資家との対話があったのかもしれません。

 

大幅増配の株価急騰後に大株主が売り抜けていくか否かも気になるところです。

 

ディーエムエス(9782)の成長性

ディーエムエス(9782)の成長性について、ここ1年でかつてないペースで次々と業務提携のIRがありました。

東証プライム市場のトランス・コスモス㈱(9715)、東証グロース市場のHUSEI(5035)、非上場の㈱GROWTH VERSE、㈱TMCです。

「資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応について(アップデート)」にあるようにM&Aなど成長戦略が進んでいるのかもしれません。

1株配当236円以上を安定的にするには「利益成長」が必須ですが、もしかしたらM&A等で実現する可能性があるのかもしれません。

今後、自社株買いを継続しつつ、M&A等で3億円以上の利益成長を実現できたら配当性向100%前後にはなるのではと思います。

 

まとめ

「配当性向」や「配当利回り」が高い銘柄は、利回りが高ければ高いほどリスクをチェックしたくなります。

今回は、ディーエムエス(9782)の異様に高い配当利回りに目がとまったので調べてみました。

 

2025年4月14日の終値2,801円で配当利回りは「8.43%」です。

財務的にこの先の5年くらいは余力があると思いますが、長期保有として多く保有する気にまではなれませんでした。

2027年9月配当権利を得るくらいまでは、短期~中期のスイングで買ってみてもという気もします。

利益成長が見込めるなら長期保有しても良いのですが未知数だと思います。

 

高配当投資では銘柄によって安定的でリスクの低いものと、そうでないものがあると思います。

一時的に配当が高いという理由だけで購入すると高値をつかむ(ジャンピングキャッチ)になる可能性があります。

その後に減配されると含み損(塩漬け)又は損失確定に至るリスクもあります。

 

<皮算用記録>
取得単価2,800円-(1株236円配当×2回)=取得単価2,328円
1株236円から大幅増配前の1株86円に減配を仮定→利回り3.6%(1株配当86円÷取得単価2,328円)
減配された場合の皮算用ですが、すごいリスクがあるという訳でもないかもしれません。

せっかく調べたので記録として残しておきたいと思います。

(投資判断は自己責任でお願いします)

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