ドルコスト平均法は、一定の投資金額で定期的に金融商品を継続して少額購入する方法です。
一般的に、長期的な運用においてリスクを抑えて、安定収益を目標と出来る投資手法として知られています。
具体的な内容と、類似する難平(ナンピン)やピラミっディング手法も合わせて確認していきます。
複数の手法を理解することで、投資環境に応じた手法を検討することが可能になると思います。
【 目 次 】
ドルコスト平均法
ドルコスト平均法とは「Dollar-Cost Averaging」のことをさし「定額購入法」とも言われています。
具体的には、金融商品を購入する場合に投資資金を一度に投資せず「同じ投資金額」で「定期的」に「継続」して「少額投資」をする方法です。
同じ投資金額で投資するため、高い価格帯では購入数量は少なく、安い価格帯では購入量が多くなります。
これは、同じ金額ではなく同じ数量を分割して購入する場合に比べて、平均取得単価の点で有利に運用ができる可能性があります。
例えば、価格が上昇を続ける相場では、購入できる口数は減るために、同じ口数を購入するよりも平均購入単価は少し高くなる程度で済みリスク低減につながります。(同じ口数が有利になる仮定では、価格が上昇し続ける必要があり、投資資金もより必要になります。)
逆に、価格が下落を続ける相場では購入できる口数は増加し、同じ口数で購入するよりも平均取得単価をより下げることにつながります。(同じ口数が有利になる仮定では、価格が下落を続ける状況において損失を低減でき、投資資金も少なくて済みます。)
また、ドルコスト平均法は、最初に投資資金の全てを投資する「一括投資」と比較して、上昇局面でのリターンが少なくなり、下落局面ではリスクを抑え、下落から回復局面では大きなリターンを得られる可能性があります。
下記の記事で、ドルコスト平均法で運用した場合の5つのシミュレーションをグラフで検証していますので、ご参考ください。
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このように、ドルコスト平均法は一般的に長期投資でリスクを抑制する効果が期待できる点と安定した収益を得たい場合に使われる手法とされています。
ただし「ドルコスト平均法」で必ず利益を得られるものでもなく、機械的に運用しても価格の動きによっては損失になることもあります。
相場の変化にまったく対応せずに「ドルコスト平均法」だけを継続していては、応用が利かないということにもなりかねません。
例えば、安定配当を継続する銘柄を投資対象とし、価格の変動に加えて配当利回りを重ねて運用することで、最終的な出口が損失で終わる可能性を下げることができます。
あるいは、手数料の高い投資信託を選ばず、手数料が安く済む個別銘柄を自分で研究して投資してみるのも方法です。
投資信託で運用をする場合でも、自動売買で簡単に投資できると宣伝されているもので手数料が1%の投資商品がありますが、配当が1%減ることと同じです。
長期投資での利回り1%はかなり大きな数字です。
投資信託でもネット証券では、手数料0.1%以下の商品もありますから、同じ投資信託でも良く調べて投資をしたいものです。
このように「ドルコスト平均法」以外にも有効と思える方法はいろいろとあると思いますので、負けにくい投資環境を作っていくことが大切だと思います。
難平(ナンピン)
難平(ナンピン)とは、購入した金融商品の価格が下がった場合に、追加で同じ商品を購入して平均取得単価を下げる方法です。
具体的には、1口1,000円で購入した商品の価格が200円まで下落した場合、追加でもう1口を購入することで平均取得単価を600円に下げることができます。
計算式は、1,000円+200円÷2=600円です。
2回目の購入口数を3口で計算した場合では、平均取得単価は400円になり、2回目以降の購入口数を増やせば増やすほど平均取得単価も低くなります。
しかし、価格が安くなったことで口数を多く購入できる反面、価格の下落が止まらない場合は大きな損失になります。
保有口数が2口に増えていれば2倍、3口なら3倍、10口なら10倍になります。
ドルコスト平均法では、同じ投資金額で定期的に継続して購入するというルールがありましたが、難平の場合は投資金額や投資時期が投資家の判断にゆだねられます。
ドルコスト平均法のように「規律」「長期の計画性」を機械的に兼ね備えた難平では、良い結果をもたらす手法となり得ることもあります。
その反面、計画性がないままに損失を防ぎたいという感情に支配されて投資金額を増やしてしまうと、価格が下がり続けた場合に投資資金が枯渇して、難平(ナンピン)をしなかった場合の何倍もの損失になることがあります。
価格が下がっている中で追加投資することは投資効率としては良くないことに加えて、感情的な原因で失敗に陥りやすいことが多く、一般的に難平はしない方が良いと言われています。
購入時点で揺るぎのない計画やルールを決めていない場合は、難平(ナンピン)を安易に行うべきではないのかもしれません。
良くニュースでFX(外国証拠金取引)で損失を出した記事を見かけると思いますが、自己資金以上の取引が出来るレバレッジの効いた信用取引で難平(ナンピン)を行ったケースも少なくありません。
株式相場と比べるとFX相場はレバレッジが高く、下値に底がないような環境でもありますので、十分に注意が必要です。
ピラミッディング手法
ピラミッディング手法とは、難平とは逆のような手法になります。
ピラミッディングとは、商品価格の底値圏と判断できる位置で、最初のポジションを持つことが出来た際に、価格の上昇に合わせて、少ないポジションサイズ(保有口数)で追加購入していく方法です。
保有する商品の価格帯と口数を図示すると、ピラミッドのような形になります。
具体的には、最初の保有口数が4口とすると、その価格から上昇すると2口を追加で購入し、さらに上昇すると1口を追加で購入するという形で買い増しをします。
なぜ、買い増しの保有口数を少なくするのかというと、急激な価格の下落時に対応するためです。
価格が上がる度に「まだまだ上がる。」という感情に支配されて多くを購入してしまうと、平均取得単価を高い価格帯に押し上げてしまい、価格が急激に下落した際に大きな損失となってしまいます。
この点でも「ドルコスト平均法」は、正しいピラミッディングに近い方法を採用できているようです。
次に、買い増しのタイミングですが、何パーセント上昇したら何口を追加すると何回かに分けて計画する方法があります。
また、商品価格は1本調子で上昇を続けることはなく、必ず「波」を描き、この波には小さな波と大きな波があります。
購入する商品の波の特徴に合わせて、買い増しする回数や買い増しするタイミングを計画する方法もあり様々です。
一般的に、ピラミッディングは平均取得単価を上げてしまうことから、心理的に敬遠されることも多いですが、成功した場合に大きな利益を得られます。
先程の難平と異なり、利益が出ている時点で買い増しをしますので、投資効率を落とすことが少なく、価格が下がった時の損失確定の価格を決めておくことで損失の限定もできます。
ただ、この手法は難易度が高く、プロの投資家でも成功する確率は低いと言われています。
投資を始めたばかりの方などは相場の予想をしたがる傾向がありますが、プロでも価格の上昇と下落はほぼ分からないということでしょう。
慣れないうちは、安い価格帯で買えた場合は平均取得単価を上げるようなことはせずに見ておくか、買い増しする口数をとても少なくしておくというのも方法のひとつではないでしょうか。
まとめ
積立投資等にも採用されている「ドルコスト平均法」は、難平(ナンピン)やピラミッディングの手法を機械的に採用する形になっており、心理的な規律や長期的な計画性を備えていることで、一定の評価を得ているようです。
ただし、ドルコスト平均法は万能というわけでもありませんので、配当のある商品で検討することや、自分で考えて難平(ナンピン)やピラミッディングの割合を調整することも方法になり得ると思います。
また、ドルコスト平均法は、比較的値動きの少ない安定的な商品で高配当な銘柄に投資する場合は、向いていると思います。
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