
日本化学産業(4094)の事業は「表面処理などの薬品(85%)」と「建材(15%)」が主です。
業績は長期間に渡り安定的です。
なお、新規事業としてリチウムイオン電池のリサイクルを開始しています。
【 目 次 】
日本化学産業(4094)の配当
日本化学産業(4094)は、2025年5月14日のIRで「配当はDOE4%を目安とする」と方針が定められました。
この方針に基づき、2026年3月期の配当予想は1株90円です。
EPSは長らく安定的に90円くらいで推移しているため配当性向にすると100%還元くらいになります。
配当性向としては高いですが、利益剰余金が400億円と財務的に余力があると思います。
また、2025年5月14日の決算説明で「株主還元(株主優待と配当)」は堅持する方針が示されました。
下図の資料からも少なくとも「中期経営計画」の2030年までは株主還元を継続する方針と思われます。

日本化学産業(4094)の株主優待
日本化学産業(4094)の株主優待は、配当方針の変更と同日の2025年5月14日に新設されました。
株主優待の権利月は3月と9月です。
(2025年7月18日現在)
| 株主優待(3月・9月)・QUOカード/保有期間 | |||
| 保有株数 | 1年未満 | 1年以上3年未満 | 3年以上 |
| 300株以上 | 5,000円×年2回(総合利回り6.1%) | 10,000円×年2回(総合利回り7.8%) | 15,000円×年2回(総合利回り9.4%) |
(注1)総合利回りは1株あたりの株主優待価格に1株配当90円を加算して計算しています。
(注2)総合利回り(四捨五入)は2025年7月18日の終値2,012円で計算しています。
(注3)総合利回りは優待獲得条件の下限の保有株数(300株)で計算しています。
計算例 : (株主優待価格÷株数+1株配当90円)÷株価2,012円
株主優待の継続性について
2025年3月31日時点の個人株主数は2,083人で所有株式数は8,159,100株です。
8,159,100株÷株主優待条件の300株=27,197人になります。(株主優待の最大想定人数)
株主優待導入によって個人株主数が数年で10倍になってもおかしくはないと思います。
仮に27,197人が年間30,000円のクオカードを受け取るとすると8億2千万円程になります。
加えて、1株配当90円×発行済株式数(自己株式除く)19,454,496株≒17億5千万円です。
配当総額と株主優待総額の合計は25億7千万円です。
さらに、株主優待発送コストも合わせると27億円くらいを3年目以降のMAXと仮定しておいても良いかもしれません。
この配当と優待の総額をEPS換算にすると140円くらいになりますので、過去の平均的なEPS90円では不足します。
毎年の当期利益が18億円とすると9億円ずつ利益剰余金から取り崩すことになります。
また、利益剰余金が400億円ありますが実際に株主還元に回せる資金は限られると思います。
私の「勘」でしかないですが、手元現金154億円のうち50億円くらいは可能だと考えます。
理由としては、従業員数が2015年から若干減少しているわりに手元現金が50億円ほど増えているからです。
その他、手をつけるかどうか別として有価証券も80億円くらいあります。
よって、先の図にあるとおり2025年5月21日の事業説明会資料の2030年度まで株主還元は継続できると思います。
それより先も継続するとなると当期利益で9億円くらい不足すると思います。
2030年度の会社計画の目標である「営業利益50億円」を達成できると利益は35億円くらいにはなるでしょう。
EPS換算180円となり、株主還元EPS140円を超えることとなります。(株主還元率77%)
ここまでかなり極端に保守的に見ました。
もう少し現実的に見ると、実際は最初の3年のうちは優待価格も低く、個人株主も4倍程度の増加とします。
個人株主数が8,000人として、全員が年間20,000円のクオカードをもらって2億円くらいのコストになると思います。
この計算では配当と優待コストを合わせたEPS換算は100円くらいになります。
過去の平均的なEPS90円に近いので、やはり5年間は余裕があると思います。
まとめ
最近になり日本化学産業(4094)の株主還元の強化に気がつきました。
株主還元は、個人的な見立てですが保守的に見て5年は継続すると思いました。
それ以降も株主還元を継続するとなると会社計画どおり営業利益50億円を達成しないと厳しくなってくると思います。
しかし、今から5年保有すると2030年3月期までで株主優待累計は95,000円になります。
95,000円÷300株=株価換算316円です。
2030年3月期までの1株配当累計405円を合わせると合計721円になります。
ちょうど、今回の株主還元強化で上昇した分の株価と同じくらいになります。
つまり、5年後に株主還元が改悪された想定でも721円以上株価が下落して損失にはなる可能性は低いと思いました。
言い換えると、失敗しても投資資金の約60万円を5年寝かせることになるだけで済む可能性が高いと思います。
リーマンショックでも赤字にならなかった企業ですからその後も持ち続けても良いのかもしれません。
逆に会社計画どおり成長戦略が成功したらそれ以上のリターンを見込めると思います。
つまり、私的にはローリスク・ミドルリターンを狙える銘柄と思いました。
現在は地合いが高値圏にあり、個別チャート的にも高値で安定しつつあるところです。
私は逆張りでポジションを持つことが多いです。
このタイミングでの購入は悩みましたが、2,016円で300株を購入しました。
(セクター的に人気がなく目立たない銘柄ですので、見直されると一段上昇するかもしれません)
今後は成長戦略の進捗を監視し、継続保有するかイグジットするかを検討していきたいと思います。
