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貸株サービスのデメリット回避テクニック(リスクにも注意)

貸株サービスの利回りイメージのイラスト

貸株サービスとは、保有する現物株式などを、証券会社へ貸し出すことで「貸株金利」を得られるサービスです。

正しく理解することで、配当金等に加えて「貸株金利」も受け取れるメリットがあります。

貸株サービスとは -デメリットの前にー

貸株サービスとは、保有している株式などを証券会社に貸出すことで、配当金とは異なる「貸株金利」を受け取れることができるサービスです。

株式などを証券会社に貸し出す代わりにレンタル料金を受け取れるようなものです。

具体的には、下図のようなイメージになります。

貸株サービスの仕組みを説明するイラスト

 

貸株サービスのリスク面でのデメリット

証券会社が投資家から預かっている有価証券や金銭は、万が一、証券会社の経営が破たんしたとしても確実に顧客に戻る仕組みがとられています。

この仕組みを守るために証券会社は、自社の資産と顧客の資産を区別する「分別管理」を行うことが法律で義務付けられています。

それでもなお、顧客資産の円滑な返還が困難となった場合は、日本投資者保護基金から1顧客当たり1,000万円を限度として補償されます。(時価での変換となるため損失が発生したり、信用取引や先物取引などについては、一部、分別管理の対象とならない場合もあります。)

さて、貸株のリスクに移りますが、貸株は保有する株券を「無担保」で証券会社に貸し出すため、その証券会社の信用リスクを負うことになります。

つまり、貸株で貸し出した株券等は、先に説明をしました「分別保管」及び「投資者保護基金」による保護の対象になりません。

一般的に株式を保有するよりも、制度面のリスクは大きいといえます。

ただ、実際に証券会社に貸し出した株券が、証券会社の倒産等によって紙切れになったという事例があるかというと今のところは聞きません。

株式投資を行うこと場合は、投資先の個別企業が倒産するリスクもあります。

この辺りのリスクをどのようにとらえるかで個々の判断は違ってくると思います。

そして、このリスクを許容できるか否かが貸株を始める最初のハードルとなります。

ちなみに、私は500万円単位で貸株設定して金利1%を数年間にわたって得ています。

証券会社の信用リスクに関しては、格付情報や自己資本比率等をチェックしています。

また、貸株はいつでも解除できますので、状況によっては貸株を解除する前提で、貸株サービスを利用するのも一つの方法と思っています。

貸株サービスの配当金と株主優待等の権利に関するデメリット

貸株をすると「配当金」「株主優待」「議決権」の権利はどうなるのでしょうか?

ここで「落とし穴」にはまる場合がありますので、注意してください。

原則として、貸株をしている銘柄の「配当・優待等の権利確定月」は、権利確定日までに貸株を解除して、一時的に貸株を中止して株主として権利を得ることが良策です。

各証券会社によりますが、権利確定日までに貸株を解除するには、手続きの遅延も想定して、権利確定日の5営業日前くらいに貸株の解除設定が必要になると思います。

このように貸株を一時的に止めることで、権利確定日に正式な株主として「配当金」「株主優待」「議決権」の権利を得ることが出来ます。

ここで、注意しなければならないのは、証券会社のサービスで貸株の設定をする際に「配当・優待優先」「貸株金利優先」という設定等がある点です。

例えば「配当・優待優先」を選択しておくと、貸株設定を手動で解除してなくても配当金相当額」と「株主優待」を受け取れるというサービスです。

先に説明したようにわざわざ手動で解除しなくても「議決権」以外を受け取れるなら便利と思われるかもしれません。

しかし、注意して見る必要があるのが「配当金相当額」です。

配当金相当額」とは、所得税が源泉徴収された配当金と同等金額を指し示す言葉で「配当金」とは全く異なる性質のものです。

個人取引の場合、この配当金相当額は税務上は「配当金」扱いとならず「事業所得」または「雑所得」扱となり、総合課税の対象となります。

つまり、所得税が源泉徴収された配当金と同等の金額にもかかわらず、さらに雑所得として2重に課税される可能性があります。

また「配当金相当額」は配当金ではないことから、配当金や譲渡損益との通算損益の対象にも配当控除の対象にもなりません。(詳細は所轄の税務署にご相談ください。)

このように、証券会社の多くは自動的に貸株を解除する設定がありませんので、権利確定日までに確実に手動で貸株設定を解除して、権利確定日の数営業日後に改めて貸株設定をすることが得策となります。

ただし、雑所得が20万円までで、所得税の申告不要とされているケースに該当する等の理由で、まれに問題とならないケースもあるかもしれません。

最後に「株主優待で2年以上保有すると株主優待の条件が良くなる。」という銘柄をよく見かけるようになりましたが、この種の銘柄は貸株設定しない方が良いと思われます。

貸株をした場合は、2年以上にわたって継続した株主とみなされない場合があるためです。

このデメリットを回避するには、優待取得権利に必要な株数は貸株をしないことです。

もし、それ以上に株数がある場合は余りだけを貸株にすると良いと思います。

れらのデメリットを知らずに貸株金利だけに惹かれて貸株を行うと、利益を得るどころかか税金面等で損失が増えます。

本末転倒な投資にならないよう、十分に注意が必要です。

 

貸株サービスの取引口座別のデメリット

信用口座のデメリット

信用取引をご利用する場合に委託保証金と呼ばれる担保が必要です。

現金を保証金とするほか、保有している有価証券を「代用有価証券」として、担保にすることも出来ます。

そして、代用有価証券の対象となった株券も、貸株にすることが出来る証券会社があります。

ただし、この信用口座を開設していて、かつ貸株が利用できる証券会社の場合は、一般的に貸出中の株式は「代用有価証券」の対象外となります。

そのため、貸株にした分は委託保証金額から差し引かれることになります。

信用取引をされている方にとってはデメリットになる場合があります。

NISA口座でのデメリット

少額投資非課税制度の「NISA」または「つみたてNISA」の口座内で保有されている株式等は、貸株サービスを利用することが出来ません。

貸株サービスを利用する場合は「特定口座」または一般口座内の保有株式で行うことになります。

貸株サービスの金利の高い銘柄のデメリット

貸株サービスでは、10%超える貸株金利がつくことを宣伝されていることがあります。

一般的に、このような貸株金利の高い銘柄は、機関投資家が空売りをしかけていることが多いといわれています。

そのような銘柄は「成長性が低い」「倒産リスクが高い」「新興銘柄」等のリスクをはらんでいる可能性があるといえます。

実際に、貸株金利が高い銘柄のチャートを見てみると右肩下がりのものや乱高下しているものが多く見受けられます。

貸株金利が高くても、それ以上に株価が下がってしまっては譲渡損失が貸株金利の利益を上回る可能性が高まります。

貸株金利は「長期保有銘柄」に向いたサービスです。

高金利だけに目を奪われないよう、将来性があるかをしっかり見定めるよう注意したいものです。

貸株金利を受け取るのは、いつ?

貸株金利は証券会社によって日にちの違いはありますが、毎月受け取ることが出来ます。

実際に受け取る金額ですが、貸株金利1%の銘柄を100万円で購入したとして、株価の価格変動がないとした場合、1年間の貸株金利は1万円になります。

具体的な貸株金利の計算方法は概ね次のとおりです。

貸株金利の計算式

保有数量×終値×貸株金利÷365日=1日分の貸株金利

このように貸株金利は土日・祝祭日も含めて毎日発生します。

なお、貸株金利そのものも週単位で見直されます。

貸株金利の証券会社比較 NO1はGMOクリック証券

貸株金利は証券会社によって金利が異なります。

貸株をするなら金利が高く財務体質の良い証券会社を選択したいものです。

この貸株金利の高さという点では、GMOクリック証券の1択です。

株式取引の分野では認知度が低いかもしれません。

取引ツールの操作性等が分かりずらいという声を聞くこともありますが、手数料や貸株金利についていえば顧客優先のサービスに努めている優良会社です。

短期売買の場合は、素早い操作性が求められますが、長期投資で貸株設定する限りにおいては問題ありません。

それでは実際に、貸株金利が高くなっているkudan(4425)と長期保有向きのJ-REITのエスコンジャパンリート投資法人(2971)とインフラファンドのタカラレーベンインフラ投資法人(9281)の貸株金利を証券会社3社で比較してみましょう。

(2020年3月25日現在)

証券会社GMO

クリック証券

楽天証券SBI証券
Kudan11%11%11%
エスコンジャパンリート1.0%0.2%0.5%
タカラレーベンインフラ1.0%0.5%

貸株金利が高く目立つ銘柄では各社同程度の金利でアピールされているようです。

しかし、貸株金利が低めの銘柄に目を向けていくとその違いが分かってきます。

1年以上にわたって観察してきましたが、全体的にみるとGMOクリック証券の貸株金利が高く、その次に楽天証券、SBI証券と続くパターンがほとんどです。

上記3社はネット証券の大手ですので、いずれで口座開設されても役に立つ証券会社だと思います。

まとめ

貸株金利は、0.5%未満ですと魅力が薄いものかもしれません。

しかし、配当金に加えて0.5%以上貸株の金利がつくのであれば、リスクを理解した上で検討する余地があるといえるのではないでしょうか?

この機会に個々の状況に応じて、保有株式の何割かで貸株をしてみるのも良いかもしれません。

最後までご覧いただき、ありがとうございました。

 

 

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