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マンション管理組合とは【マンション管理士が分かりやすく解説】

マンションのイラスト

マンション管理組合という言葉を聞いたけど、どのような組織なのか?

実務経験のあるマンション管理士がわかりやすく説明します。

マンションを購入してはじめて、管理組合があることを知った方。

これからマンションを購入しようとされている方はご参考ください。

この記事で主にわかる3つの項目

  • 管理組合の組織と業務内容
  • 分譲マンションの所有者は「マンション管理組合に入りたくない。」とは言えないこと
  • 分譲マンションの所有者として気を付けておくべきこと

説明は簡潔ですが「管理組合とは何か」をイメージできると思います。

マンション管理組合の組織構成

下図が管理組合の構成図です。

この中の用語を中心に説明していきます。

説明を読み終えた段階でもう一度この図を見ていただくと、管理組合の組織が理解できると思います。

管理組合の構成図

管理組合とは(マンション管理組合に入りたくないとは言えない。)

マンションを英語に直訳すると邸宅になってしまいます。

正しくはCondominium(コンドミニアム)、分譲の共同アパートです。

この「共同」という部分を管理する組織が「管理組合」と理解すると良いと思います

具体的には、共同利用しているエレベーター、通路、駐車場、敷地などの管理にはじまり、ペット飼育のような共同生活のルールも含まれます。

例えば、共同で利用しているエントランス(共用玄関)に個人が勝手に模様替えをしたら、他の住民は気持ちよくないと思います。

そこで、マンションの所有者の多数決で決めましょうという法律があります。

区分所有法(くぶんしょゆうほう)という法律です。

この法律により、マンションの所有者になると当然に「区分所有者」として権利と義務が発生します。

区分という言葉が出てきましたが、1棟の建物を2住戸以上に部屋を区分けしているので区分という名前がついています。

マンション管理組合への加入はこの法律によって当然となります。

「マンション管理組合に入りたくない。」とは言えません。

マンション管理組合の総会とは

総会会場のイラスト

管理組合の行事に「総会」という集会があります。

区分所有法により、管理組合は会計や事業の報告等のために1年に1回は必ず集会を開催しなければなりません。

総会の案内はマンションの所有者全員に行う必要があります。

この会議で管理組合の決め事などを、所有者の賛否の多数決で決めます。

総会は臨時に複数回の開催とすることもできます。

この総会での決め事は、マンションの中で最高意思決定となります。

マンション管理組合の管理規約とは

総会と同じく最高意思決定事項をまとめたマンションの法律があります。

これを「管理規約」といいます。

この管理規約はマンションの総会で決定します。

最初の管理規約は、マンションの販売会社が作成していることが多いです。

そして、マンション販売会社の作成した管理規約を承認してマンションを購入することになります。

マンション販売会社の作る規約は、国土交通省が示している「標準管理規約」をモデルにして作られている場合が多いです。

購入後に不都合な部分は、法律に違反しない範囲で総会の多数決で変更できます。

マンションを購入する際は、管理規約に目を通して管理規約違反をしていないかチェックしておくべきです。

マンション管理組合の理事会とは

総会はマンションの所有者全員に集まってもらう点で、かなり大掛かりです。

そこで、日常的な範囲の管理を任せる執行部が必要になります。

ほとんどの場合は「理事会」という組織を設けています。

理事会は総会のミニ版で、役員数人が集まって多数決で決めます。

理事会は総会の下位の位置づけとなり、決められる事項も限られています。

具体的には、上位の位置づけになる管理規約や総会の決定事項の範囲内での意思決定に限られます。

なお、理事会の役員の役割は管理規約に定められていることが多いです。

通常は、理事長、副理事長、理事数名などです。

マンション管理組合の理事とは

理事会のメンバーが全員、理事です。

この理事に役割を割り振っていきます。

国土交通省の標準管理規約を参考に「理事の互選(ごせん)により役割を決める。」と管理規約で定めているマンションが多いです。

互選とは、お互いに話し合って役割を決めることです。

そして、理事長、副理事長の役割と他の理事数名を決めます。

理事会では理事長一人に業務が偏らないよう、助け合いの考えで役割分担をされていることが多いです。

例えば、ペットサークル担当理事、防災担当理事、会計担当理事、広報担当理事などです。

マンション管理組合の理事長とは

専門用語で理事長のことを管理者といいます。

総会、管理規約、理事会で決まったことを進めていく役割です。

理事長の権限でなんでも決められると勘違いする方がたまにいますが、権限はほとんどありません。

権限があるとすると、他の理事や区分所有者も同じですが、理事会に自分の考えを提案できるという点です。

また、理事長の役割の負担は、日常的な事務手続きが大半です。

その負担は他の理事より多くなりがちです。

そういった負担を軽減してくれるのが管理会社です。

管理会社とは、管理組合が委託料を支払って、管理業務を任せている会社です。

掲示物の作成から、理事会・総会資料(案)まで全てを作成する管理会社が存在している場合は、それほど負担にはならないでしょう。

その場合は、最低限の仕事として資料をチェックして訂正の指示をだしたり、決裁の捺印だけで終わると思われます。

ただし、管理会社のレベル、担当者のレベルでサポートの範囲に差があると思っておいた方が良いと思います。

マンション管理組合の監事とは

理事の他に監事(かんじ)という役割があります。

理事と混同されている人がいらっしゃいますが、理事ではありません。

理事会で多数決を行う時も、監事は除外されます。

専門用語でいう「議決権」がありません。

そのため、理事会では多数決のカウントに入りません。

余談ですが、監事の書き方をお酒の場を盛り上げる幹事と間違う人が時々いますので、気を付けてください。

監事の役割は会社組織でいう監査役のような存在です。

理事会を第三者的にチェックします。

年度末には管理組合の会計と事業を監査するという重要な仕事もあります。

管理組合の会計監査は企業会計ほど複雑ではありません。

簿記3級レベルで十分に理解できます。

マンション管理組合の防火管理者とは

消防法により、不特定多数の人が出入りする建物には防火管理者を選任する必要があります。

収容人数が50人未満などの例外を除いて、ほとんどの場合は選任する必要が生じます。

建物の高さが31mを超えると統括防火管理者も選任しなくてはなりません。

統括防火管理者と防火管理者は兼ねることも出来ます。

そして、居住者であれば防火管理者の役割を務めることが出来ます。

管理規約に定めがない限り、防火管理者を管理組合の役割にする必然性はありません。

しかし、消防署への提出する書類手続きを理事長がする関係もあり、便宜的に管理組合で選任することが多いです。

なお、防火管理者は資格が必要です。

消防署の講習を受けると、居眠り等しなければ誰でも資格を取得できます。

ただ、9時から17時くらいまで2日連続で講習を受けなければなりません。

区分所有法の生い立ち

マンション管理組合の運営は、民法、区分所有法、管理規約、総会、理事会のルール内で決めていくことになります。

区分所有法は区分された建物に適用される法律で1962年に施行されました。

それ以前にも、棟割長屋(テラスハウス)等の区分された建物はありましたが、マンションと比べて部屋数が限られていました。

そのため、民法で全ての解決をはかってきました。

民法では、共有するものについての決め事は「全員の合意」が原則です。

しかし、マンションでは所有者が100人以上になることもあり、民法の全員の合意では管理が不能に陥るという判断になりました。

このような経緯があって、区分所有法は民法の中の「特別法」という位置づけで誕生しました。

そして、区分所有法では過半数、4分3以上等、多数決で共有のものごとを決めることが出来るようになりました。

余談ですが、関連する法律として「マンション管理適正化法」というものがあります。

この法律の内容のほとんどは、管理業務を任せる管理会社に対する罰則規定です。

マンション所有者に対しては、積極的に管理組合の業務に参加するよう努力することが定められています。

マンション管理組合のトラブル

管理組合でトラブルになる多くは、次のことを守らなかった場合に起こっています。

区分所有法の第6条に「区分所有者は、建物の保存に有害な行為その他建物の管理又は使用に関し区分所有者の共同の利益に反する行為をしてはならない。」とあります。

平たく言うと、みんなが使う建物の管理や使用では「共同の利益」を大切にしなさいということです。

あるいは、出来得る限り「所有者の全員の利益、公平性を第一にする。」という考え方です。

多くの善男善女は法律を知らなくても「和を以て貴しとなす。」ではないですが、同じ建物に住むものとして、こういった助け合いや譲り合いは自然と出来ています。

問題を起こすのは5%未満の「「自分の利益だけの主張をする。」または「大声で文句だけ言う。」という協調性のないタイプです。

管理組合の総会などで、このような恥ずかしい発言は控えないと孤立して快適に住めなくなる可能性があります。

総会で意見をいうこと自体に問題ありませんが、総会の議題に反対して自己の主張を通そうとしてみたところで、総会では事前に案内した議題の意見交換を行った後に賛否を問うだけの場です。

総会の会場に所有者全員が実際に居る場合を除いて、株主総会のように緊急動議(その場で違う議題を提出して賛否を問う行為)は法律上は認められていません。

総会での発言は、議題に欠陥でもない限り、意見にとどめるか次回の総会までの提案とするか、事前に理事長や理事会に相談するといった順序を踏むのが本来と思います。

もし、あなたが管理組合の役員になったなら、なおさら公平性に配慮しつつ、自分の利益よりも困っている他の人の手助けをする気持ちがないと間違った方向に進んでしまいます。

このように大多数が納得する着地点を見出すところは「政治」に似ているかもしれません。

その他に問題になるケースは、建物や設備の故障の対応が遅い場合なども問題になることがあります。

そして、最後はお金の問題です。

建物の工事などは、所有者全員が支払う管理費・積立金を使います。

管理組合、管理会社等の関係者が金銭を横領する事件が時々発生し新聞にも掲載されています。

証拠の工事写真・報告書を残すことや、公開性・透明性を意識しましょう。

その他、役員の負担が偏るマンションでは、役員報酬を支払うよう総会で決める事例もありますが、なるべくこういった制度も避けた方が無難です。

お金もらってるなら仕事をするよう求める声や、根拠のない「うわさ」が流れることもあります。

マンション管理組合の書面決議とは

ここまで読んでいただいた方は、マンションでは所有者全員で話し合って共有のものごとを多数決で決めることを理解いただけたと思います。

理事会や総会という集会を開催することも説明しました。

この集会に関して、所有者全員を呼びつけるのも気を遣うし、集会にわざわざ集まるのも面倒だという声をよく聞きます。

役所や会社では、説明する書面を持ち歩いて権限のある人に判子をもらって決裁を得る方法があります。

管理組合の運営も、持ち回り決裁や回覧板のように簡単に片付かないのかという疑問が生じます。

一応、管理組合の総会にかえて「書面決議」という方法があります。

まず、最初に説明しました1年に1回は必ず開催する必要のある総会は「書面決議」は不可です。

また「書面決議」をする場合は、所有者全員から賛成を得る必要があります。

全員から賛成を得ることは世帯数が多いと不可能に近く、遠方にお住まいの方から提出を頂くことも難しいです。

理事会の書面決議は管理規約の変更によってできるとする説もありますが、不可としておく方が良いと思います。

総会の書面決議も上手く機能したという事例を聞きませんので避けた方が良いでしょう。

なお、書面決議と誤解されやすいのが、総会に出席しない場合に提出する「委任状」や「議決権行使書」という書面です。

この「委任状」や「議決権行使書」は総会会場に出席せず、書面で賛否を提出する方法で出席人数としてカウントしてもらう方法です。

最後に、なぜ書面決議が好ましくないかというと、マンションでは価値観の異なる人がたくさんお住まいです。

理事会や総会で議論を重ねると、一人で考えていた段階では思いもしなかった問題に直面するものです

そいういったこと踏まえて、区分所有法では「集会主義」の精神が重んじられています。

まとめ

分譲マンションにある「管理組合」とは何かを説明させていただきました。

マンションの所有者は法律上は、当然に管理組合のメンバーになります。

そして、所有する居室の中は比較的自由に出来ますが、その他の場所は自分勝手に決めることは難しいことがわかりました。

そして、何より「公平性や、みんなの利益」を優先しないと問題児になる点は気をつけなくてはなりません。

同じ建物に住む家族のような近い関係ですので注意しましょう。

今回の記事がマンション管理組合の理解への一助となれば、幸いです。

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