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インヴィンシブル投資法人(8963)配当の行方【ブログ No2】

荒れる海を航海する戦艦(イラスト)

 

2020年5月12日に掲載したインヴィンシブル投資法人(8963)分配金(配当)【大幅減配】の続編です。

その後、2020年8月25日にインヴィンシブル投資法人より2020年6月期の決算が開示されました。

分配金(配当)は2020年5月11日の衝撃のIR「分配金予想30円」から39円の増配となり69円に着地しました。

また、インヴィンシブル投資法人は5月11日のIRで手元資金が127億円あることに触れていました。

一部の個人投資家からは内部留保を取り崩してでも分配金の増額を求める声もあります。

確かに現物不動産を保有するリートは一般の上場企業と比較して倒産リスクは極めて低いといえます。

しかし、投資家に支払う分配金(配当)もさることながら金融機関への利息の支払いがあります。

リートは保有する不動産を購入する資金のおよそ半分を投資家から集め、残りを金融機関から借り入れています。

この借入れの比率は専門用語でLTV(Loan to Value)と言われており50%未満が適正とされています。

つまり、銀行への返済ができなくなると倒産となり投資家のリスクを増大させてしまいます。

加えて、2020年以降のコロナウイルス感染症の状況を考えると「キャシュを残す」ことは最優先と考えられます。

インヴィンシブル投資法人も5月11日のIRでキャッシュを残すことを明示しており2020年6月期で取り崩しはされませんでした。

インビンシブル投資法人のその他の問題は別としてキャッシュを確保する点に関しては適当と考えます。

それではインヴィンシブル投資法人の今後を考えてみたいと思います。

インヴィンシブル投資法人(8963)の稼働率予想

REIT(リート)に投資していると気になるのは「分配金(配当)」です。

まず、分配金(配当)の根拠の一つとなるホテル稼動率を見てみましょう。

インヴィンシブル投資法人のホテルのポートフォリオの約50%は東京に集中しています。

2020年7月22日から始まったGOTOトラベルは東京のみ「対象除外」とされていましたが、10月1日からGOTOトラベルの対象になりました。

また、東京都民の都内旅行に適用される東京都民割という制度も10月23日から加わります。

とはいえ、先にGOTOトラベルを開始した東京以外の地域の稼働率への効果は約8%の上昇でした。

これらを考えると過度の期待はできません。

インバウンドに関しては、訪日外客数(訪日外国人)数は4月以降は入国制限により99%の減少と皆無に近い状態でした。

この点、2020年10月1日から「14日間の待機」の条件付きで世界各国からの入国が緩和されました。

11月中には72時間滞在のビジネス渡航者に限り14日間の待機も条件付きで免除される予定です。

マイナス要因としては「テレワーク7割」などの新たな生活様式の政策です。

出張によるビジネスホテルの利用や旅客鉄道、航空、オフィス、飲食業は厳しい環境にさらされています。

この新たな生活様式は冬に向けたインフルエンザの流行やコロナウイルスの第3波の可能性に備えて継続すると思われます。

これらを考慮するとインヴィンシブル投資法人のホテル全体の稼働率は今後も40%から60%の間を推移すると思います。

各種報道の影響などもありますが「国民のマインド」「入国制限」「テレワーク7割」などの影響が解消される必要があります。

そのためには、コロナウイルス感染症が収束しない限りは状況に大きな変化はないと考えるのが妥当だと思います。

国内ホテル稼動率のグラフ

続いて、2020年11月1日から入国制限を緩和する予定のイギリス領のケイマン諸島のホテル2物件です。

ケイマン諸島は米国に近いキューバ南東のカリブ海に位置しており米国からの観光が大半です。

物件数はたった2つですがインヴィンシブル投資法人の2019年12月期の営業収益の約8%を占めています。

さて、米国では陸続きで海に面したビーチのホテルの稼働率は50%を超えるところもあります。

しかし、孤島になると入国時の検査などがハードルとなりホテルの状況は厳しいです。

稼動率に関しては同じ孤島のハワイが参考になると思います。

世界の宿泊施設のベンチマーキングサービスを提供しているSTRという調査会社があります。

そのSTR社によると2020年8月第1週のハワイ州オアフ島のホテル稼動率は20.2%だったそうです。

ハワイは各国の渡航制限を2020年11月1日から緩和する予定がありますので8月の稼働率より改善していくと予測されます。

また、インヴィンシブル投資法人のケイマン諸島のホテルは限定的な稼動からスタートされる予定です。

ケイマン諸島に関しては、再開時のホテルの稼動率は20%以下から始まり2021年から20%以上に推移すると見ています。

ケイマンホテル(2物件)の稼働率のグラフ

さっくりですが、国内と海外のホテルの稼働率の推移と予想をしてみました。

コロナウイルス感染症の問題が起こるまではホテルの稼働率は概ね80%以上でしたが、2020年3月以降は国内外とも50%を下回る稼働率で推移しています。

STR社の試算では世界のホテル業界の完全回復は2023年以降とも言われています。

コロナウイルスに対するワクチンや治療薬ができると一気に回復する可能性はありますがホテルリートの夜明けは先のようです。

インヴィンシブル投資法人(8963)の分配金(配当)について

前回のブログ記事を掲載した5月時点で、コロナウイルスが本格化する前の2020年1月から3月の収益は4月以降はなくなることが明白でした。

その上で「2020年12月期のインヴィンシブル投資法人の分配金(配当)はなくなるかもしれない。」と書かせていただきました。

2020年10月28日にざっと決算資料などを見てみましたが本当に分配金(配当)が0円になるのではないかと思えてきました。

下表は2020年のインヴィンシブル投資法人の売上状況などをホームページより一部を抜粋した数字です。

2020年1月から12月の国内ホテル売上げ一覧表

2020年6月期の国内ホテルの売上合計は約120億円でした。

2020年12月期の国内ホテルの売上は7月から9月の3か月で約56億円と前期の半分くらいです。

回復傾向にある10月から12月の3か月を加えても前期と同じ程度の売り上げで着地すると思います。

仮に売上が同じくらいとして単純に決算書の内容で異なる点を確認しました。

まず、2020年6月期は前回のブログ記事で説明済みですがオペレーターのMHMへの支援としてインヴィンシブル投資法人が13.5億円を負担しました。

5月11日の覚書の上限15億円より少なく済んだ印象ですが、決算説明書(P31)をよく見ると賃貸事業費の増加額は約19億円です。

13.5億円の根拠として豆粒のような字の注釈に「MHMの2020年6月期の賃料収入約5.5億円を差し引いた金額です。」と記載があります。

このインヴィンシブル投資法人がオペレーターのMHMを支援する負担は「新たな覚書(9月11日付IR)」で2020年12月期はなくなることが明記されています。

つまり、賃貸事業費として増加した約19億円は、2020年12月期にはなくなるはずです。

その一方で2020年6月期にあった物件売却益20億円が見込めなくなると思います。

ここまででプラスマイナスがほぼ0とします。

次に、2020年6月期は2020年3月までのケイマン諸島の営業収益が約9億円でしたが2020年12月期は皆無に等しい状況です。

ここまでで単純計算としてケイマン諸島の約9億円の営業収益がマイナスになります。

2020年6月期の当期純利益は約4億円でしたので、その他を考慮せずに差し引くと2020年の当期利益予想は-5億円となります。

発行済投資口総数の6,096,840で割ると一口あたりの分配金は約-80円になります。

もし、マイナスの場合は他の収支の調整や手元資金の取り崩しにより0円にすると思われます。

(9月以降の売り上げに加算される予定の雇用調整助成金などの不確定要素がありありますが、あくまで私で分かる範囲です。)

なお、2020年12月末時点の手元資金127億円は2020年9月11日付IRによると同年11月末日時点で82億円になる見込みということです。

国内ホテル稼動率平均約50%に回復した現在でもこのような状況です。

2020年12月期の分配金(配当)がどうなるかは分かりませんが、10月以降の売り上げが上振れても期待はできそうにありません。

国内ホテルの稼働率が65%程度を維持できて従来の予想分配金(配当)約1,700円の半分程度が見えてくるのかもしれません。

しかし、ホテルの稼働率が65%程度まで自然に回復するにはまだ先のように思われます。

まとめ

今回はインヴィンシブル投資法人の2020年12月期の分配金(配当)の予想をしてみました。

相場を予測することに意味はないという人もいます。

確かに、戦略や戦術を重視すると予測することは二の次のことかもしれません。

とはいえ、リートやインフラファンドに限っては一般企業よりも予測が立てやすいと思います。

そして、決算書などを開いてシナリオを考えることで勉強になることもあります。

2020年12月期の分配金(配当)を予想する中で2021年度もまだまだ厳しいという状況も見えた気がします。

一方で、手元資金が82億円あるということでインヴィンシブル投資法人は2年程度はしのげるのではと思います。

(可能性は低いと思いますが2020年4月7日に発出された「緊急事態宣言」と同様の措置がなされると厳しい状況になると思われます。)

また、前回のブログ記事でインヴィンシブル投資法人が過去に買収したリートが保有していた住宅ポートフォリオが「救い」と記載しました。

今回はインヴィンシブル投資法人が果敢に攻めつづけたホテル分野の「ケイマン諸島のホテル」が痛手になっています。

ケイマン諸島のホテルはコロナウイルスの感染拡大が際立つ米国の観光が大半を占めています。

今後のケイマン諸島のホテルは日本国内のホテル以上に苦戦するかもしれません。

逆に、ケイマン諸島のホテルが回復する傾向がみられると明るい兆しと言えるのではないでしょうか。

 

<前回記事>

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