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インヴィンシブル投資法人の2020年9月1日IR【ブログ No3】

前回のブログ記事で2020年12月期の配当は0円になる可能性を指摘しました。

インヴィンシブル投資法人はコロナウイルス感染症の影響を受けて厳しい状況にあります。

今回のブログ記事ではインヴィンシブル投資法人の2020年9月1日付のIRを取り上げたいと思います。

その内容は2020年6月期の決算説明に対する質疑応答をQ&A方式でまとめたもののようです。

本題に入る前に2020年11月7日までのホテルリートの状況から見てみましょう。

コロナウイルス感染症のホテルリートの影響(2020年)

ポートフォリオにホテルを保有するリートは2020年に入ってから大きな影響を受けました。

インヴィンシブル投資法人の場合はオペレーターのMHMを救済しないとMHMが倒産する状況でした。

実際に投資法人みらいやタカラレーベン不動産投資法人などではホテルのオペレーターが倒産したところもありました。

そのような中でホテルを中心に保有する5つのリートで最も健闘しているのは大江戸温泉リート投資法人です。

大江戸温泉リート投資法人は分配金をほぼ維持しています。

同投資法人はコロナウイルス感染症の影響でホテルを休業していた時期も「固定賃料」を支払っています。

星野リゾート・リート投資法人も2020年10月期までは分配金は従来の予想通りで、コロナウイルス感染症の影響を受ける変動賃料が反映される2021年4月期から分配金が半分程度になる見込みです。

その他、森トラスト・ホテルリート投資法人の分配金は半分程度になり、いちごホテルリート投資法人の分配金は5分の1程度になりました。

そして、分配金が0円に近いホテルリートはジャパン・ホテル・リート投資法人とインヴィンシブル投資法人です。

コロナウイルス感染症の環境下でリートの運営方針やテナントの資金力、スポンサーの姿勢などが見て取れます。

今回はこのような状況においてインヴィンシブル投資法人の2020年6月期の決算説明に関するIRを考察したいと思います。

リートに賃料を支払うテナントの保証金について

リートとは簡潔に説明するとテナントからの賃料収入を投資主に還元する仕組みです。

敷金または保証金はこの家賃の不払いに備えて賃貸借契約の際に貸主に預ける担保です。

リートの仕組みの生命線ともいえる賃料の支払いが滞った際のセーフティネットになります。

実物不動産の場合は保証金・敷金が免除されることは少ないです。

賃貸マンション等に住んだ経験のある方なら家賃の3か月くらいが相場ということはご存知と思います。

最近は家賃の安い物件の場合は敷金・保証金0円の物件も見るようになりました。

しかし、保証金・敷金を担保とするのは実物不動産では常識的な考えです。

まして、賃料も高く事業収益に左右されるテナントにおいては賃料の半年分から1年分の保証金・敷金は常識です。

大江戸温泉リート投資法人の保有物件を見ると「固定賃料の6ヶ月分」が敷金・保証金として全物件に預け入れられています。

(大江戸温泉リート投資法人はコロナウイルス感染症の時期においても保証金を取り崩すことはしていません。)

ここでも大江戸温泉リート投資法人の堅実な運営方針を見ることができます。

しかし、大江戸温泉リート投資法人以外のリートを見ると敷金・保証金なしというところも多く見られました。

さて、この保証金または敷金に関してインヴィンシブル投資法人の9月1日付IRの「質疑応答」に次のような説明があります。

 

(2020年9月1日付IRより抜粋)

Q MHM以外の固定賃料ホテルの状況は。

A 一部から一定金額の減免要請あったが、減免は行っておらず、また予定もしていない。

今後仮に減免の必要が生じた場合でも、固定賃料ホテルに関しては 月額賃料の 6ヵ月から12ヵ月以上の敷金を受領しており、投資法人の収益への影響はない。

 

このQ&Aを読むと次のようなことを考えざるを得ません。

● オペレーターの「MHM(マイテイズ・ホテル・マネイジメント)」に限って固定賃料を減免するが他のテナントとは妥協しない。

資金力がなく倒産のリスクのあるオペレーターの「MHM」の固定賃料だけ免除する特別扱いです。

そもそも不動産の賃貸借契約において借主の与信調査(支払能力の調査)は当然です。

賃貸借契約では必ずといって良いほど「収入証明書」や「連帯保証人」を求められるものです。

インヴィンシブル投資法人は連帯保証に変わる保証制度などは利用しているのでしょうか?

そもそもインヴィンシブル投資法人はMHMとの契約時にMHMの信用の何を調査していたのでしょうか?

 

● オペレーターの「MHM」以外からは敷金を 6ヵ月から12ヵ月分以上を預かっている。

何を根拠に「MHM」に限って敷金(保証金)を免除しているのでしょうか?

インヴィンシブル投資法人に限らず、大江戸温泉リート投資法人以外のホテル系リートは免除しているところが多いです。

インヴィンシブル投資法人だけを責めるのもどうかと思いますが、今回のコロナウイルス感染症のような不測の事態に備える対策を考える必要があると思います。

 

例えば、インヴィンシブル投資法人のスポンサーFIG(Fortress Investment Group LLC)からホテル物件を取得する都度、大江戸温泉リート投資法人のように固定賃料の6ヶ月分を保証金として設定していたなら結果はどうなっていたでしょうか?

コロナウイルス感染症の影響で年間稼働率の平均が40%程度で推移したとします。

そうすると、1年間は分配金の半分近くは支払えたのではないでしょうか?

また、大江戸温泉リート投資法人の場合は未だ保証金に手を付けていません。

おそらくスポンサーを含めてグループ全体で協力してオペレーターが固定賃料を支払ったのではないでしょうか?

しかし、インヴィンシブル投資法人のオペレーターのMHMには固定賃料を支払う資金力はありませんでした。

グループ内の支援としてインヴィンシブル投資法人のスポンサーのFIGはMHMに13億円の資金支援をしました。

ただ、FIGの見解はもともとMHMを支援をする法的義務はく13億以上の支援はしない方針です。

スポンサーのFIGに13億円以上の支援をする資金力がないわけではありません。

2020年9月に経営危機に陥った㈱レオパレス21に対してFIGは520億円の融資を決定しました。

この融資にはリターンがあるとはいえ520億円という金額はインヴィンシブル投資法人の当期利益2年分相当です。

インヴィンシブル投資法人のスポンサーのFIGは「シビア」に割り切っていると考えておいた方が良さそうです。

インヴィンシブル投資法人のポートフォリオ(住宅・商業施設)

インヴィンシブル投資法人はホテルを中心に保有していたリートですが、少ないですが住宅と商業施設を保有しています。

これは2010年に(旧)エルシーピー投資法人を吸収合併した際に同投資法人のポートフォリオが組み込まれた結果です。

今回のコロナウイルス感染症の環境でこの住宅と商業施設が果たした役割は大きかったです。

ホテルはコロナウイルス感染症の影響で稼働率が10%近くまで落ち込む影響を受けました。

しかし、住宅に関しては稼働率に変化はなく安定した賃料収入がありました。

さて、インヴィンシブル投資法人は質疑応答の中で「保有物件の売却」に関して次のように説明しています。

 

(2020年9月1日付IRより抜粋)

Q 物件売却の可能性は。

A 物件売却を含めあらゆる選択肢を検討しているが、ホテル物件の売却については今のマーケットでは鑑定価格から大きくディスカウントされる可能性が高く、また将来回復する収益を永久に失うことになるため、合理的ではないと考えている。

このQ&Aでは住宅と商業施設にあえて触れられていません。

インヴィンシブル投資法人が自己の保有するポートフォリオ全体を把握しているのは当然です。

意図的に住宅と商業施設に関して回答していないと受け取らざるを得ません。

確かに、ホテル物件に関しては足元を見られて安く売却することになる可能性は高いです。

しかし、住宅物件に関しては不動産価値はほとんどコロナウイルス感染症の影響を受けていません。

住宅と商業施設の売却に関してもしっかりと回答すべきではないかと思います。

手元資金が枯渇するような事態では住宅物件の売却は最後の切り札にはなると考えられます。

まとめ

今回は、インヴィンシブル投資法人の2020年9月1日のIRの一部を取り上げました。

同投資法人のIRはしっかり全体を把握して回答しているというより概要を提示している感じが否めません。

その中には投資法人主体の都合で答えるだけのIRと受け取れる部分がありました。

これは外資のスポンサーのFIGとインビンシブル投資法人の関係に起因するのかもしれません。

この点には折に触れてで説明したいと思います。

 

<前回までの記事>

ブログNo1インヴィンシブル投資法人(8963)分配金(配当)【大幅減配】
ブログNo2インヴィンシブル投資法人(8963)配当の行方

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