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長期保有におすすめの株【高配当利回りの効果】

2020年3月10日

配当の収穫をイメージする写真(お金の上に育つ植物)

例えば、利回り5%の商品に投資をすると、単利で20年後に資産は2倍になります。

貯金の利回りが1%未満になった現在、高配当で安定的な投資方法があれば、実践してみたいと考えるのは自然な流れともいえます。

 

本記事ではそのような考えや関心をお持ちの方に、長期保有に向いた商品を中心に紹介しています。

 

早速ですが、長期保有でおすすめできる株は、継続的なインカムゲイン(配当所得)が多く、値動きが安定的なものが良いと言われています。

冒頭でも述べたとおり利回りが5%の商品を100万円で購入した場合、20年で手元資金は2倍の200万円になります。

分配金を再投資する複利運用にすると2.6倍の260万円になります。

これは、投資した100万円の商品価格が1円になったとしても、損失がないということを意味しています。

銀行預金の利息0.2%で20年運用しても104万円にならないことを考えると、貯金より投資した方が賢明であることはご理解いただけるかと思います。

そこで、リスクを限定した高配当で安定的な商品を探すことになります。

その内容に合致する商品は、2001年9月に創設された「J-REIT」と2015年4月に創設された「インフラファンド」です。

これらの商品は、投資信託の一種とされていますが、株式同様に流動性があり、証券会社に口座をお持ちの方であれば、誰でも株と同じように売買ができます。

そして、魅力的なところは株式でいう配当にあたる分配金が5%を超える銘柄がある点と、減配リスクが低いという点です。

例えば、日産自動車(7201)は5%近い高配当銘柄として有名でしたが、元代表取締役会長のカルロス・ゴーン容疑者の逮捕後、株価は下落し、2020年の期末は無配当になりました。

大株主が財務省の日本たばこ産業(2914)も高配当銘柄として有名ですが、世界的なたばこの健康被害がうたわれる中で株価は下落し、配当維持もいつまで続くのか疑問視する声も出ています。

このように企業の場合は、常に競争にさらされている中で、刻々と移り行く外部環境や時代の変化に対応し、利益を出し続けなければ、配当を維持することは困難という不安定さが否めません。

しかし、株式とは異なる特殊な仕組みをもつ「J-REIT」と「インフラファンド」は、配当にあたる分配金が安定的に維持される可能性が極めて高い商品といえます。

配当利回りの良いJ-REITを長期保有株としておすすめできる理由

ここからは、まずJ-REITの全体的な概要を簡単に説明したいと思います。

詳しい内容や長期投資のテクニックなどの記事は別にありますので、興味のある方は他の記事もご覧ください。

J-REITとは?

REITとは、米国などでは日本より先に始まっていた投資商品で「不動産投資信託証券」をさします。

これを、英語表記にするとREIT(Real Estate Investment Trust)です。

さらに、日本のJapanの頭文字JをつけてJ-REITといわれています。

その投資商品の内容ですが、おおまかには不動産投資を証券化したものです。

自分で実物の不動産を購入し、賃貸に出して運用する不動産投資に代えて、

不動産の保有・運用・管理をプロに任せて、1口10万円未満から出資できるという商品です。

そして、投資口主は家賃に相当する分配金を受け取る仕組みです。

株式と異なり、家賃相場が安定的ということは感覚的にも理解いただけると思います。

つまり、家賃に相当する分配金も安定的に推移するということになります。

J-REITのデメリット

J-REITのデメリットについては、おおむね次のとおりです。

倒産・上場廃止リスク

デメリットとしては、J-REITも倒産リスクや上場廃止リスクがあるという点です。

実例としては、2008年のリーマンショックといわれる金融危機のころ、ニューシティ・レジデンス投資法人が初の破綻・上場廃止となりました。

主な原因は新たな不動産を取得する際の資金調達に失敗した事といわれています。

しかし、最終的には(現)大和ハウスリート法人とニューシティ・レジデンス投資法人が合弁されることになりました。

ニューシティ・レジデンス投資法人の上場廃止前の投資口価格と、合弁後の(現)大和ハウスリート法人の投資口価格はほぼ変わらず、投資口主は損失を被ることはありませんでした。

また、この事例を除いて2001年のJ-REIT創設から2020年まで、吸収・合併などはありましたが、倒産や上場廃止はありません。

倒産や上場廃止が多く見受けられる株式と比べると、REITは実質的に不動産という資産を保有しているという強みから、そのリスクは低いと言えると思います。

価格変動のリスク

株式に比べると価格変動はゆるやかですが、実物不動産に比べると変動幅は大きいといえます。

そのため、高い価格帯で多くの投資資金を投入するとデメリットになる場合もあります。

ただ、このデメリットは、1年に1回ずつ一定金額で購入して時間を分散する方法を利用することなどで軽減することも可能です。

配当控除の対象外や節税面

REITの分配金は配当所得になります。REITの投資法人は法人税が免除されるという税制面の優遇があるため、J-REITは「配当控除」の対象外になります。

また、自分で実物の不動産を保有する場合と比べて、事業所得にならないから節税効果が得られないことをデメリットと考える人もいます。

J-REITのメリット

J-REITのメリットについては、おおむね次のとおりです。

少額の資金で不動産投資と同様の投資ができる。

一口当たり3万程度から100万円程度と幅がありますが、実物不動産に投資するよりも少額で投資が出来ます。

実物不動産と比べて、流動性(換金性)が高い。

実物不動産と異なり、すぐに売買が成立します。

そのため、急に資金が必要になった時などに、すぐに現金化が出来ます。

高配当な商品が多い。

J-REITは株式に比べると総じて高配当です。

先に述べましたとおり法人税が免除される「税の導管性」という法律制度によるものです。

この制度では、投資法人の利益の9割以上を投資口主に分配する要件などを満たすことで法人税が免除されます。

通常はリスクとリターンはセットになることが多いのですが、ここに例外的な市場の歪みともいえるチャンスが存在しています。

東京証券取引所の上場基準を満たしいること。

J-REITは、東京証券取引所に上場している商品ですので、開示情報の義務付けなどがあり透明性・信用性があると思います。

NISA(非課税制度)との相性の良さ

個人投資家のための税制優遇制度にNISAや積立NISAがあります。

この制度を利用すれば、分配金の税金を非課税で受け取ることが出来ます。

分配金に貸株金利の上乗せ

J-REITでは、数が少なくなりましたが、貸株金利が発生する場合があります。

貸株金利とは、保有する株やJ-RETの投資口を証券会社に貸し出すことで得る金利です。

この貸株金利が総じて高い証券会社は、GMOクリック証券です。その次は楽天証券が良いです。

ネット証券ではSBI証券や楽天証券のシェアが目立ちますが、GMOクリック証券は手数料なども安く良心的な面があります。

この貸株金利を分配金利回りに加算するとかなりの利回りとなります。

例えば、2020年3月初旬にGMOクリック証券の貸株金利をチェックすると次のような結果でした。

貸株金利銘柄名
1%
  • (2972)サンケイリアルエステート投資法人
  • (2979)SOSiLA物流リート投資法人
  • (3487)CREロジスティクスファンド投資法人
0.5%
  • (3287)星野リゾート・リート投資法人
  • (3473)さくら総合リート投資法人
  • (3476)投資法人みらい

貸株の注意点としては、NISA口座内の保有証券は貸株が出来ません。

貸株を行う場合は特定口座などで行う必要があります。

また、貸株金利は週単位で変動しますので、過去の長期間にわたって貸株金利が継続している銘柄かどうかも調べておくと良いと思います。

なお、貸株によって損失が発生した事例はありませんが、保有する証券を貸し出すリスクも伴います。

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J-REITの銘柄

J-REITの銘柄数は60銘柄を超えており、その市場は成熟しています。

おおまかなREITの特徴ですが、一般的にホテル系や事務所系、商業施設系REITは、景気の影響に敏感で価格変動が大きいと言われています。

逆に、住宅に投資する住居主体型や、老人ホーム等へ投資するヘルスケア型は、景気が悪くなったからといって、事務所のように引っ越すことも少なく賃料が安定していることから、価格変動は小さいと言われています。

このほかにも、物流施設に投資する物流型や、土地に投資する底地型、全てを合わせた総合型等といろいろあります。

今回は、利回りが全てではありませんが、5%以上の銘柄ということでいくつかピックアップしてみたいと思います。

最初にホテル・事務所系REITですが、2020年2月頃から中国から始まった世界的な移動制限により、投資主口価格が大きく下がり始めました。

(8963)インヴィシブル投資法人は約8.5%、(3476)投資法人みらいが約7%の利回り水準で推移しています。

このホテル主体型とホテルを含む事務所型REITは、世界的な移動制限の影響を受ける時期の分配金は減額修正をする可能性が高いと思われます。

しかし、世界的な移動制限が解除に至った場合は分配金が回復することが想定されますので、多くの資金を投資できるチャンスかもしれません。

その他、住宅型では、(3459)サムティ・レジデンシャル投資法人が利回り約5.5%で推移しています。

ヘルスケア型REITでは(3455)ヘルスケア&メディカル投資法人が利回りが約5.5%で推移しています。

利回りの他にも、物件の立地条件、物件の所在地を分散するポートフォリオ、LTV(Loan to Valueの略。)「総資産有利子負債比率」、NAV(Net Asset Valueの略。)純資産価値など、さまざまな判断基準があります。

投資は自己責任ですので、最終的には各自で研究して自分にあった銘柄を探してみてください。

なお、他の記事でもREITの解説をしていますので、ご参考ください。

配当利回りの良いインフラファンドを長期保有株としておすすめできる理由

ここからは、インフラファンドの全体的な概要を簡単に説明したいと思います。

インフラファンドとは

インフラファンドとは、米国などでは日本より先に始まっていた投資商品で先のJ-REITと似ています。

その投資商品の内容ですが、REITが不動産を対象とした投資商品であったのに対して、インフラファンドはインフラ設備を投資対象としたものです。

具体的には、太陽光発電設備、水力発電設備、風力発電設備、空港設備、道路などが投資対象として想定されています。

創設されて間もないこともあり、2020年時点では「太陽光発電設備」のメガソーラーといわれている資産を投資対象としたものが多い状況です。

インフラファンドのデメリット

インフラファンドのデメリットはJ-REITと同様ですが、次の点が加わります。

税の導管性の期限

J-REITの場合は税の導管性という法人税免除の制度に期限はありませんが、インフラファンドの場合は上場時から20年と定められています。

過去に税の導管性の期限が10年から20年に延長された経緯がありますので、将来的にJ-REITと同様になるかもしれません。

利益超過分配金について

J-REITでは、利益超過分配金を出す投資法人が少ないため取り上げませんでしたが、インフラファンドの場合は全ての投資法人が利益超過分配金を出しています。

利益超過分配金とは、投資信託でいうところの特別分配金に相当し「資本の払い戻し」に該当します。

つまり、A投資法人の投資口を100万円で購入した後に、A投資法人より分配金として「通常分配金3,000円」と「利益超過分配金500円」が支払われたとします。

通常分配金の3,000円は受け取ることになりますが、利益超過分配金は受け取る代わりに100万円の元本に返済される形で取得単価が下がります。

この例の場合は500円が下がって、100万円で取得した投資口が99万9千500円で取得したことに変更されます。

つまり、通常は半年ごとや1年ごとで受け取る分配金のうち、利益超過分配金は定期的に受け取ることが出来ないというデメリットになります。

インフラファンドの銘柄をチェックする時は、通常分配金と利益超過分配金の割合をチェックしておかないと配当利回りが良くても定期的に受け取る分配金が少ないということになってしまいます。

もちろん、利益超過分配金は定期的に受け取ることが出来ないとはいっても、取得単価が下がりますので将来的に売却するときに、取得単価が下がった分は利益として受け取ることになります。

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太陽高発電の固定買取制度(FIT)の期限

インフラファンドは、太陽光発電設備等を運営するオペレーターから賃料を得る仕組みになっています。

オペレーターが賃料を支払う実質的な利益はどこから生まれているのかというと、太陽光発電設備で発電した電力を売電した利益と言えます。

売電で高利回りの利益が生み出されている根拠は、国が発電開始から20年間にわたって高い買取価格で買い取ってくれる制度だからです。

言い換えると、2012年7月から始まったこの固定買取制度(FIT)の期限が終了する20年後くらいの将来が不透明という点がデメリットといえます。

インフラファンドのメリット

インフラファンドのメリットはJ-REITと同様ですが、異なる点はおおむね次のとおりです。

J-REITと比較すると安定的高配当

先に説明しました固定買取制度(FIT)は国が定めた法律で、太陽光発電を促進するために電力の買取価格を20年間にわたって固定するものです。

つまり、20年間にわたって利益が確保されている点で、高配当であることに加えて景気の変動も受けない安定性があります。

固定買取制度(FIT)は、2020年に終了予定です。

終了すると2020年以降の新たに建設する太陽光発電設備にFIT制度は適用されません。

しかし、FIT制度の終了までに認定を受けた発電所は、発電開始から20年間の利益が確保されるわけです。

例えば、2012年に認定を受けて発電を開始している発電所の場合は、2032年まで固定買取価格で利益が確保されます。

REITの賃料も変動が少なく魅力的ですが、国の法律で決まった利益を得られるインフラファンドの安定した賃料には強みがあります。

なお、デメリットの部分で触れましたが、固定買取価格の制度には期限があり、いつまでも続かない点にはご注意ください。

貸株金利でさらに利回りUP

インフラファンドでも、貸株金利が発生する場合があります。

例えば、2020年3月時点でGMOクリック証券の貸株金利では次のような結果を確認できました。

貸株金利銘柄名
1%
  • (9281)タカラレーベン・インフラ投資法人 投資証券

貸株の注意点は、REITで述べた内容と同じです。

インフラファンドの銘柄

J-REITと異なり、2020年3月時点でインフラファンドは7銘柄の上場で未成熟な状態ともいえる段階です。

銘柄数も少ないこともあり、少し掘り下げて2つの銘柄を紹介してみたいと思います。

(9281)タカラレーベンインフラファンド投資法人と、(9284)カナディアン・ソーラー・インフラ投資法人です。

まず、インフラファンドの中での資産規模の1位が(9284)カナディアン・ソーラー・インフラ投資法人、2位が(9281)タカラレーベンインフラファンド投資法人です。

次に、利益超過分配金の割合が少ない実績では(9281)タカラレーベンインフラファンド投資法人が1位で、2位は(9284)カナディアン・ソーラー・インフラ投資法人です。

利益超過分配金が少ない点は、金融機関などの機関投資家が重視していると言われています。

続いてJCR格付ですが、(9284)カナディアン・ソーラー・インフラ投資法人と(9281)タカラレーベンインフラファンド投資法人ともに「A̠⁻」でインフラファンドの中ではトップクラスです。

利回りは、2020年3月時点で(9281)タカラレーベンインフラファンド投資法人が約6%で(9284)カナディアン・ソーラー・インフラ投資法人が約6.5%です。

さらに、(9281)タカラレーベンインフラファンド投資法人については、GMOクリック証券で貸株を行うと貸株金利1%受け取ることもできます。

利回りだけが全てではありませんが、他にも利回りの高いインフラファンドもあります。

最終的には、各自で研究して自分にあった銘柄を探してみてください。

まとめ

今回は安定的で高配当なJ-REITとインフラファンドをご紹介いたしました。

任天堂やYAHOOという何倍にも価格が上昇するテンバガー銘柄を見つけて投資することは至難の技であり、リスクも大きくなります。

これに対して、高配当の銘柄を長期保有する考え方は「資産を2倍にする。長期保有すると損失が限定される。」という出口(結果)から逆転した発想です。

出口から組み立てる投資は、実現できる確率は高まり、リスクも抑えることが出来るようになります。

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