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「地図」で見る羽田新航路の騒音による不動産への影響

2020年3月30日

都市を飛ぶ飛行機のイラスト

2020年3月29日より羽田新航路の運用が始まりました。

これまでの飛行ルートと違い、東京都市の上空を飛行するルートです。

この記事では「地図」を見ながら、羽田新航路の通過エリアの騒音の影響と、不動産の資産価値に与える影響を元不動産会社員が実際に騒音を体験した内容も踏まえて説明しています。

羽田新航路では主に「南風時(着陸・離陸)」と「北風時(離陸)」の2種類があります。

将来、東京に住もうと考えている方、お住まいになっている方等はご参考ください。

「南風時(着陸)」滑走路A・滑走路Cの羽田新航路の地図

下図は国土交通省が公開している南風時(着陸)の航路地図です。

「滑走路A」と「滑走路C」の2つの航路があり、それぞれ好天時と悪天時で航路が少し変更になります。

新航路(南風)の地図と航路のイラスト

大きく迂回して着陸する「滑走路A]は、さいたま市、板橋区、練馬区、中野区、渋谷区、目黒区、港区、品川区、大田区を通過します。

滑走路Aの内側をまわって着陸する「滑走路C」は、川口市、北区、豊島区、新宿区、中野区、渋谷区、目黒区、港区、品川区、大田区を通過します。

年間平均4割の割合で羽田新航路を利用し、15時00分から19時00分までの3時間で運用される見込みです。

要約すると、先程のエリアを「滑走路A」と「滑走路C」ともに、約2日~3日に1回の割合で15時00分から19時00分まで飛行機がほぼ途切れることなく通過することになります。

「A滑走路」で約4分、「C滑走路」で約2分ごとに飛行機が通過しますが、2つの滑走路の航路は並行しているところもありますので、飛行機の音は絶えないのではないでしょうか。

飛行状況に興味のある方はフライトレーダー24で、リアルタイムの世界の飛行状況を見ることが出来ます。

羽田空港飛行コースでは、当日の飛行ルートを確認できます。

「南風時(着陸)」滑走路A・滑走路Cの羽田新航路の騒音

騒音のレベルですが国土交通省の数日間にわたる屋外での騒音測定をまとめるとおよそ下図のとおりです。

測定場所はおおむね新航路の直下になりますので、同じ区内でも騒音にある程度の差は生じます。

また、この表は国土交通省の資料をもとに概要説明の趣旨で大まかにまとめたものです。

正確な数字をお知りになりたい方は、国土交通省の羽田空港のこれからに資料がありますのでご参考ください。

南風 A 滑走路 平均 最大 最小
さいたま市 64db 67db 61db
板橋区 63db 67db 59db
練馬区 63db 70db 56db
中野区 65db 71db 58db
渋谷区 68db 74db 62db
目黒区 67db 76db 58db
港区区 70db 80db 60db
品川区 71db 79db 63db
大田区 64db 66db 61db

*平均値は、最大値と最小値の平均値です。また、最大・最小値とも、複数の騒音測定日の数値を平均した数値です。(以降の表も同一)

南風 C 滑走路 平均 最大 最小
川口市 65db 71db 60db
北 区 66db 72db 60db
豊島区 65db 71db 59db
中野区 65db 71db 58db
新宿区 67db 73db 60db
渋谷区 68db 74db 62db
目黒区 67db 76db 58db
港区区 70db 80db 60db
品川区 71db 79db 63db
大田区 64db 66db 61db

この表にある数値の単位はデシベル値(db)という騒音を表す単位です。

一般的には50デシベル以下で日常生活を平穏に過ごせるとされています。

今回の騒音測定は屋外ですので、建物内にいるとこのデシベル値は下がります。

国土交通省の資料によると、建物内ではおおむね25db程度は低くなるという説明がありました。

建物には音をさえぎる性能、遮音(しゃおん)性能があります。

近年に建設された気密性の高いマンションや住宅の場合は、国土交通省の資料のとおり25dbくらいの遮音性能はあると思われます。

しかし、古くからある気密性の低い木造住宅は、ほぼ筒抜け状態の場合もあり、遮音性はかなり劣ると思われます。

さて、下図はデシベル値とその程度および、日常生活で耐えうるレベルを表しています。

デシベル値と事例

この一般事例から見ると、新宿区あたりから、渋谷区、目黒区、港区、品川区は住居エリアでは気になる音量になり得るエリアがあることが伺えます。

そこで、実際に新宿近辺の航路の真下にあたる場所と航路から離れた場所で騒音を確認をしてみました。

新宿近辺で航路の真下に位置する住宅エリアでは騒音は気になる音でした。

駅前や幹線道路沿い等の騒々しいところで飛行機が通過してもそれほど違和感は感じません。

居室内は、遮音性能の低い住宅の場合は飛行機が通過する時間帯は気になる方がいると思います。

続いて、航路からどれくらい離れたら騒音が気にならないかという点ですが、新宿区・中野区の高度の位置ですと3㎞くらい離れると、外ではよく聞かないと飛行機の音が聞こえないくらいです。

音の感じ方は個人差がありますが、航路から3㎞以上離れると居室内ではあまり気にならないか、全く気にならないレベルになると思います。

話を戻しまして、南風 C 滑走路の騒音測定の大田区の騒音ですが、飛行機の高度が低いにもかかわらず騒音の値は低くなっています。

これは、騒音測定場所が他の測定ポイントと異なり「滑走路AとC」の航路の真下に位置していないためと推定されます。

真下から外れた場所では、飛行機の高度が低いことがかえって騒音の広がりの影響を受けずに済んでいるようです。

ただ、同じ「大田区」でも滑走路AとCの航路の真下のエリアや「滑走路B(離陸)」の航路に近いエリアは騒音の影響を受けると思われます。

騒音の測定場所によって、飛行機の高度、音を遮る建物の有無等で、同じ区内でも音の大きさに違いがありますので、注意が必要です。

「南風時(離陸)」滑走路Bの羽田新航路の騒音

今度は「滑走路B」からの離陸の航路を見てみます。

位置は最初の地図の下部の一番左側になります。

これまでの航路では、高度を上げるために迂回してから川崎区の上空を通過していましたが、新航路では離陸後すぐに大田区を右手に見ながら川崎区の上空を通過します。

下表は国土交通省の騒音測定の結果をまとめたものです。

南風B滑走路 平均 最大 最小
大田区 74db 82db 67db
川崎市川崎区 85db 91db 79db

 

飛行機が離陸するのが、約2日~3日に1回の割合で15時00分から19時00分までに限るとしても、約2分毎に離陸する時間帯は住宅エリアにかかる地域は厳しいことが伺えます。

「北風時(離陸)」滑走路A・滑走路Cの羽田新航路の騒音

続いて、下図は国土交通省が公開している北風時の離陸航路の地図です。

「滑走路C」からの離陸になります。

新航路(北風時)の地図

新航路では、江東区から江戸川区、墨田区、葛飾区を通過して足立区で高度6,000フィートに達します。

6000フィート近くになると騒音の影響が少ないためか、国土交通省の騒音測定では江戸川区までになっています。

実際は墨田区、葛飾区もある程度の騒音になるのではないでしょうか。

下表は国土交通書の騒音測定の結果をまとめたものです。

北風 C 滑走路 平均 最大 最小
江戸川区 68 74 62
江東区 67 73 62

江戸川区、江東区ともにかなりの騒音です。

地図で見る羽田新航路の騒音による不動産への影響

地図で見る羽田新航路の騒音の影響ですが、外国の事例では騒音によって大きく不動産価格が下落する国もあります。

しかし、羽田新航路の場合は全体的に影響はほとんどないと考えています。

なぜなら、東京は世界で最も人口が密集している都市で、その利便性から住宅の需要は常にタイトだからです。

ただし、一部の地域での影響が少なからず出てくると見ています。

南風時の「滑走路Aと滑走路C(着陸)」のエリア

南風時の滑走路Aと滑走路Cでは、新宿区あたりから渋谷区、目黒区、港区、品川区、大田区周辺は新航路に近く、遮音性(音をさえぎる性能)が低い住居の場合は、室内にいてもうるさく感じると思われます。

特に、閑静な住宅街にお住まいの方は、静かな時間帯と騒々しい時間帯が生まれます。

オフィス街、工業地域、商業地域はもともと騒音のある地域ですから影響は軽微と思います。

影響をそれなりに受けると思われるエリアは、不動産価格の高い閑静な住宅エリアでです。

タワーマンションも同様で、特に高層階は飛行機の騒音の影響を受けやすくなります。

これらのエリアで近年の遮音性能の良い建物であっても、また防音工事を行っても、通気口など音の入る場所は残さざるを得ないでしょう。

南風時の「滑走路B(離陸)」と北風時「滑走路C(離陸)」のエリア

南風時の「滑走路B(離陸)」の大田区と川崎区エリアの騒音数値は最も大きく、この周辺の住宅エリアは影響を避けられないと思います。

次に、北風時の「滑走路C(離陸)」の江東区、江戸川区周辺エリアですが、もともと不動産の価格が低めのエリアでもあり、変化は軽微ではないかと思います。

まとめ

最終的に、不動産の価格は住宅を「売却(賃貸)する人」と「購入(賃借)する人」との需要によって決まります。

月の半分の数時間の飛行機の騒音は気にならないから不動産価格はそのままで良いという人もいれば、不動産価格が下がる条件でしか買いたくないという人もいます。

また、羽田新航路の計画は何年も前から周知されてきましたので、騒音が不動産にデメリットになると思った方の中には売却された方もいるでしょう。

羽田新航路の運用後の不動産価格の影響が分かるのは、運用開始後のこれからです。

羽田新航路運用後は1年くらい様子を見た方が良いかもしれません。

影響がある場合は中々売れず不動産価格は下がることになりますし、影響がなければその時勢の不動産価格で売れます。

不動産価格は騒音のみで決まりませんが、東京23区全体の不動産価格と騒音の影響のあるエリアの価格を比べれば、その変化をある程度は知ることが出来ると思います。

なお、これから東京でお住まいを探される方等で飛行機の騒音が気になる場合は、事前に下見をして自分の耳で確認することをおすすめします。

 

参考記事

-Real estate

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