東京で家賃0円の貸家はあるのだろうか?
支出の多い家賃をなんとかしたい。
元不動産会社員の筆者が、そんな無理難題にお答えしてみようと思います。
この記事でわかること
- 東京の家賃相場の現状と家賃を安くする現実的な知識と方法
- 東京の家賃0円を達成する方法、または、知っておくと役立つかもしれない家賃0円の方法
はじめに、東京は物価が高いと思われるかもしれませんが、実際に住んでみると違うことが分かります。
家賃と物価は全般的に地方と比べて高いですが、住むエリアによります。
むしろ、最低賃金が高く求人倍率も高い東京で、物価と家賃の安いエリアに住むと資産形成のチャンスが広がります。
早速ですが「家賃0円」は可能かというと厳しいのが現実でしょう。
しかし、発想の方向をあさってに変えることで、家賃0円も夢ではないと思います。
シェアハウス、ルームシェア、駅近の極小ハウス、寮のある期間工等、誰でも思いつきそうな発想にプラスしたご提案を試みます。
ちなみに、筆者は東京に転勤後、宅地建物取引士として活躍していた当時の知識を活かして2年後に家賃0円を達成しました。
【 目 次 】
家賃0円の前に、東京のエリア別の家賃相場を知ろう
東京都でもエリア別に家賃相場は異なります。
まず、東京とその周辺を含めた家賃相場を把握し、家賃の安いエリアで候補をピックアップすることから始めましょう。
活動拠点にできるエリアの候補を定めたら、インターネットの「アットホーム」等の住宅探しのサイトを活用して、具体的な物件探しへ移りましょう。
上記の地図は、赤いエリアが都心5区(千代田区・中央区・港区・新宿区・渋谷区)と呼ばれているエリアで東京の中心地で家賃相場が高いです。
その周辺の緑のエリアが周辺11区(文京区・台東区・豊島区・江東区・墨田区・大田区・品川区・目黒区・世田谷区・中野区・杉並区)です。
都心5区と周辺11区を合わせて「東京16区」と呼ばれています。
このエリアが都心へのアクセスが良く人気のエリアになります。
その他の7区は、通勤時間にすると周辺の市区町村、神奈川県、埼玉県の戸田市、川口市や千葉県の松戸市、市川市、船橋市と大差はなくなります。
家賃の話にもどりますが、意外にも都心周辺11区に家賃2万円の物件があります。
都心5区でも家賃3万円の物件があります。
ただし、風呂付となるとすぐには見つからないかもしれません。
それから、注意点としては「家賃」と「共益費(管理費)」が別表示になっている点です。
例えば、家賃0円という衝撃的な広告をよく見てみると、共益費(管理費)は別途2万円ということもよくあります。
物件を探す時は、家賃、共益費(管理費)、水道光熱費の負担の仕組み等をチェックしておきましょう。
家賃0円を東京で実現する方法(会社員のメリットとエリアを活かす)
会社員として家賃0円を目指すのであれば、勤務先までの距離の近いところを住居エリアとして選ぶとなにかと有利になることが多いです。
そして、勤務先で交通費が支給される場合は、その条件をよく確認してエリアを選択するのも方法です。
バスと電車の両方の交通費が支給されるケースは珍しいですし、最短経路での支給になることが多いでしょう。
それでも上手く交通費が認められると、都営バスの定期で1ヶ月で9,000円、電車の定期で1ヶ月9,000円、2種類以上の鉄道会社を乗り継いで最短経路に出来ると18,000円以上も夢ではありません。
そして、自転車通勤が許される環境が整っている場合に、自転車通勤をすると交通費で家賃2万円を回収するという方法が見えてきます。
自転車の代わりに道路交通法に適合した電動キックボード、徒歩通勤でも良いでしょう。
その他にも、会社の住宅手当等の福利厚生をフル活用して有利な環境を作ることです。
会社の福利厚生等の社内規定をよく読んでから、条件が良くなるエリアに引っ越すのも良いでしょう。
良い物件はすぐ見つからないことは多いです。
とりあえずはそこそこ安い物件に住んでからでもじっくり良いエリアを探しましょう。
家具付のシェアハウスを次の物件探しまでの仮住まいなどに使うのも選択肢です。
入居者同士で情報交換ができるかもしれません。
≫ 東京で家賃3万円から住めるシェアハウス-シェアドアパートメント-
引越しを数回する必要が発生しますが、近距離の引越料金はワンルームで3万円以内でも可能です。
引越しのオススメ時期【元不動産屋がお答えします。】
賃貸管理会社の元不動産屋が引越しのオススメ時期の実情を話します。 結論として、引越しのピークの3月と4月を避けることが出来ればベターです。 3月と4月を避けることがもむつかしい方も、引越し料金を安くす ...
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なお、自転車で通う場合には、次のようなメリット・デメリットがあります。
● 適度な運動、ダイエットになる。
● 夏場の暑い時期に汗をかかないよう早い時間に出勤し、誰もいない事務所で効率よく仕事ができる。
● 自転車保険(約200円/月)の加入義務が発生する。
● 10km(20分から40分)以上の距離になると通勤時間等で厳しい面がある。(電動キックボードは別。)
● 盗難されない無料の駐輪場所を探す必要がある。(折り畳み自転車を持ち歩く必要がある。)
● 夏場の暑い時期は、汗をかく。
● 雨の日の道路は危ないし、濡れない対策がいる。(雨の日は、電車を使う。)
家賃0円で東京都内に社宅のある仕事選び
あなたが就職や転職に合わせて家賃0円の物件を探しているのであれば、社宅が完備されている会社を探す方法があります。
転職サイトでは「検索条件」を設定して、社宅付きの求人を検索できます。
例えば、リクルートナビでは次のような検索画面があり、チェックボックスにcheckを入れて条件にあった求人を検索できます。
福利厚生の特徴
求人サイトもいろいろありますが、良質な求人は大手サイトに集中しています。
まず転職サイトNO1のリクルートナビに登録すると良いでしょう。
求人サイトに登録しておくと、自分のキャリアや年齢に応じた「求人オファー」が届くので、常に自分の市場価値をチェックすることにも役立ちます。
登録料は無料で5分程度で終わりますので、この機会に登録をしておきましょう。
● リクナビNEXT | 転職・求人サイトNO1
*求人数が圧倒的に多いリクナビ、まずは登録しておきましょう。
● リクルートエージェント | 転職支援実績31万人
*リクルートエージェントは、転職相談のプロです。企業の具体的な内容を聞くことができたり、非公開の求人も紹介してもらえます。
家賃0円を実現した方法(東京23区の860万円の戸建て)
家賃0円にする方法として、安い住宅を購入してしまう方法があります。
実際に、私が家賃0円を実現した方法は、再建築不可の木造の戸建てを東京23区(11区内)に860万円で購入したというものです。
諸費用(登記費用・仲介手数料・不動産取得税)を含めると900万円くらいでした。
2020年時点では不動産価格が上昇したため1,000万円くらいの価格帯に相当すると思います。
つまり、今でも東京23区で戸建て住宅を1,000万円程度で購入できます。
私の場合は、東京に引越してから戸建てを購入する予定でしたので、良い物件が見つかるまでは家賃5万円くらいのところに住みながら探していました。
(東京で転職するまでの家賃は、会社から住宅補助を手厚く受けていました。)
そして、2年の時間をかけてリーマンショック後の不景気の時期に安く購入することができました。
なぜ、そのようにしたかという理由は次のとおりです。
家賃5万円×12ヶ月=60万円
860万円÷60万円=約15年
15年も賃貸に住んでいたら東京でも安い戸建てを買えます。
もう一つの理由は、東京23区の不動産価格の下落がほとんどない点です。
地方の場合は、10年もすれば半分かそれ以下に不動産価格は下落しますが、東京23区で購入した860万円の戸建ては同程度の価格で売れてしまうということです。
つまり、売却することで不動産の取得に使ったお金は戻ってきます。
あるいは、将来的に田舎暮らしを初めた場合でも、取得した不動産を賃貸に出せば、家賃収入を得ることも出来ます。
家賃0円を可能にした東京23区の再建築不可の木造戸建てとは
私が購入したのは「再建築不可」の木造戸建て住宅です。
再建築不可とは「前面道路が4m以上あり、かつ道路に2m以上接する。」という条件を満たしていない住宅です。
(条件に一部の例外はありますが、長くなりますのでここでは省略します。)
さて、このような住宅を思い浮かべて「不良品のような住宅」と思われるかもしれません。
確かに、東京23区以外のエリアの物件であったなら「再建築不可」の物件は買わなかったでしょう。
東京23区以外で購入した場合は将来の処分に困りますが、東京23区の住宅需要の強さから出口戦略に困ることは少ないと思います。
そして、なにより大規模改修や模様替え(主要構造部の過半)に至らないリフォームが出来ます。
つまり、再建築不可でも小規模な改修で長持させる工夫が出来ればして100年以上も住むことも目指せます。
(追記:2025年の建築基準法改正で「4号特例」扱いの特例が変更されます。ほとんどの再建築物不可物件で主要構造物の過半を超える修繕や模様替えで確認申請が必要となるなど修繕や改修が困難になる可能性があります)
デメリットは「地震や火災で倒壊した場合は再建築ができない。」という点と「購入時にほぼローンは組めないので現金一括支払いになる。」という点です。
メリットは「中古木造住宅のために鉄筋コンクリート造に比べて固定資産税が圧倒的に安い。」という点と「共同住宅にある管理費・積立金等を払う義務がなく、単独で自由に修繕が出来る。」そして「鉄筋コンクリート造と異なり、取り壊さずに部分的に改修できる。」という点です。
(鉄筋コンクリート造の住宅は、柱や壁等の主要構造部の部分的な入替えが難しく、多くは100年以内に取り壊すことになってしまいます。日本最古の分譲マンションといわれた渋谷駅前の宮益坂ビルディングの事例では、築63年で建て替えがきまりました。)
続いて、再建築不可物件の購入時の注意点ですが、雨漏り等がなくリフォーム代が安く済む物件を選ぶことが大切です。
また、テラスハウスの物件を購入しないことです。
テラスハウスとは隣の家と壁同士で家がつながっているタイプです。
一見すると一戸建てのように見えますが、共同住宅の扱いになり単独の修繕が出来ないなどのデメリットが多くなります。
また、家同士が独立していても隣りの住宅との間に50cm以上の空間がないといけません。
この空間がないと外壁塗装等のリフォームが出来ません。
さらに、土地の権利について、賃借権の場合は賃料が発生しますから「所有権」で自己所有にした方が良いでしょう。
他に「私道負担金」の有無なども調べておくと良いでしょう。
国の新築政策と販売会社の宣伝で住宅は「新築」という幻想が作られてますが、最近は中古も見直されつつあります。
鉄筋コンクリート造のように長く住めない中古住宅は注意が必要ですが、改修して長く住める木造住宅等は人によっては良い買い物になります。
家賃0円(東京23区)の一戸建てを「現金一括」で支払った方法
私の場合は長期間の投資の成果もあって、中古住宅を現金一括払いで購入しました。
資産形成をした投資方法に興味のある方は他の記事、特に「Asset management」のカテゴリー内の記事を読んでいただくと理解が深まると思います。
話を戻しまして、東京23区で一戸建てを一括支払いする方法ですが、若くて資産もないまま東京に出ようとされている場合は、両親等に頼み込んででも安い住宅を買った方が良いと思います。
私は両親に無心をするようなことはありませんでしたが、一度だけ許されるなら東京に戸建てを1,000万円以内で買うためのお願いはしたかもしれません。
その後、家賃として少しずつ親に返していく等の相談もできるのではないでしょうか。
もし、購入出来るのであれば、購入後に売却や賃貸にしやすい東京23区内の物件が望まれます。
資金面で難しい場合は、東京郊外や神奈川、千葉県、埼玉県で探せば500万円くらいの住宅もあります。
ただ、勤務先までの「通勤時間のロス」や「将来の処分・運用」がやや難しくなります。
その他、再建築不可の選び方は、浸水しない地域、崖上等の地盤が弱いところではない等といろいろあります。
東京23区でも、再建築不可を賃貸に出すことは簡単でも売却には時間がかかりますから、購入時は下見をするなどして納得した上で決断しましょう。
再建築不可という名称は、印象が良くないかもしれませんが、良く調べて誤った物件を購入しなければお買い得になります。
最後に、再建築不可より安い物件は、心理的抵抗もあると思いますが「事件・事故物件」という選択もあります。
実際に東京23区内で500万円という事故物件が売りに出ることも稀にあります。
家賃0円を目指すその他の情報(フリーレント・シェアハウス・ルームシェア)
最近は、仲介手数料0円・敷金・礼金0円、シェアハウス、ルームシェア等も増えてきました。
まず、仲介手数料・敷金(保証金)・礼金0円は、単純に入居時の出費が減ります。
仲介手数料とは、お部屋を紹介してくれた賃貸管理会社への手数料です。
敷金(保証金)とは、大家さんに預け入れる資金で、退去する際にクリーニング代等が差し引かれます。
礼金とは昔のしきたりで大家さんへのお礼としての支払いです。
これらを無料にする理由は、2020年4月に民法が改正された影響もありますが、大家さんが全て負担してでも入居してほしいからです。
また、フリーレントも同じようなサービスで入居から一定期間の家賃を無料にするというものです。
1ヶ月に満たない日割りの家賃だけ無料ということもあれば、2か月程度という場合もあります。
ずっと家賃が0円というわけではありませんので、注意しましょう。
次に、シェアハウスは家具付でお風呂やキッチンがある物件であれば利便性はあります。
その一方で家賃の割に個別スペースが狭い物件もあるので注意が必要でです。
ルームシェアは、広い間取りを借りて友人等と共同生活をおくる方法です。
シェアハウスより安くなる可能性がある一方、プライバシーが確保されない難点があります。
なお、賃貸借契約でルームシェアが禁止されていたり、入居人数が決まっていることがありますので注意してください。
まとめ
今回は、東京で家賃0円という奇想天外な問題に挑戦してみました。
工夫次第では家計の支出の多くを占める「家賃0円」できる可能性が見えたかもしれません。
空室の少ない東京では入居者の競争率も常に高く、家賃0円をすぐに実現することは難しいかもしれません。
すぐに全てがうまく行かなくても、まず家賃や物価の安いところに住んで、じっくり検討していくというのも現実的な選択肢だと思います。
私の場合も、社宅や住宅補助のある条件の良い会社に勤めて、家賃の支出をなくしつつ投資で資産を形成し、中古の戸建て住宅を購入する計画を立てるというように段階を踏みました。
今回の記事が、家賃0円のヒントや住宅の購入時の参考等になれば幸いです。